2024年11月23日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月28日

 イランの介入――テロリストへの武器の供与、訓練、資金援助――と核武装を止めさせなければならない。さもなければ中東の永続的な平和と安全は来ない。イランは痛い目に遭わない限り米国の力を恐れないであろう。

 優先順位を決める事が極めて重要であり、かつ、バイデン政権とは真逆にストレートに対応するべきである。米国とイスラエルは最初にイランの多方面の妨害工作に焦点を絞り、しかる後に他の問題に積極的に取り組むべきだ。

 公式に何と言おうとアラブのリーダー達はイスラエルとの関係を強化することが、自分達の安全保障にとって重要だということを理解している。イランに対抗する同盟を形成せずにいることで、バイデンが求める多くの目標の実現をより困難にしている。

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サウジとイスラエルは国交樹立できるのか

 トランプ政権時の国家安全保障問題補佐官でアンチ・イランの急先鋒であるボルトンの論説であるが、中東の諸問題を解決するためにはまずイランに対処しなければならないというのはアンチ・イランの真骨頂だ。

 3人の米兵が殺害されたことへの報復に際してバイデン政権が色々な問題に気を配り過ぎていて効果が減じているというボルトンの指摘は正しい。特に、バイデン政権が予めイラン本土は攻撃しないと宣言してしまったので、イランに対する抑止力の回復にはならないであろう。

 イランは米国との直接衝突を恐れているのでイラン本土が攻撃されるかも知れないと思えば、その行動はある程度抑制されたと思われる。

 他方、ガザの衝突が続いているために停滞しているがパレスチナ独立国家を認めなくてもサウジとイスラエルの国交樹立は可能であるというのはどうであろうか。実際、2月6日にサウジ外務省はパレスチナ独立国家が承認されるまでイスラエルとの関係正常化は無いという声明を出している。

 サウジのムハンマド皇太子は、イスラエルとの関係樹立に前向きだが、サウジ国内でサルマン国王を筆頭に親パレスチナ・反イスラエルの国民は少なくないと思われ、この声明はガザの紛争をきっかけに彼等が盛り返したことを示唆している。他方、イスラエル側もガザの衝突以降、心理的にパレスチナ独立国家を受け入れる状況にはなく、サウジとイスラエルの関係正常化は、当面困難になったと思われる。


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