2024年12月22日(日)

デジタル時代の経営・安全保障学

2024年3月5日

 イスラエルのレバノン侵攻が懸念される中、シーア派イスラム主義政党で武装組織であるヒズボラの事務総長ハッサン・ナスララ氏が2月13日、イラン国営テレビプレスTV(Press TV)で1時間21分という長いスピーチを行った。スピーチはYouTubeで確認できる。

ナスララ氏はイスラエルによる盗聴を詳細に語った(Hassan Nasrallah speech (English) Feb 13 2024

 スピーチの前半部分は2月のはじめにレバノン、シリア、イラクの各地で数十人のイラン支援民兵の幹部がイスラエルによる空爆とドローンによる攻撃で殺害されたことへの哀悼であったが、スピーチの終盤1時間9分を過ぎた頃、イスラエルによる盗聴に警戒するよう呼び掛けたのである。

 ナスララ氏は、携帯電話を通してイスラエルに情報が漏れていることを強調し、レバノンおよびレバンノン以外のシリア、イラク、イエメンのヒズボラ支持者に対して携帯電話の使用を止めるようよびかけたのだ。

アラブ通信会社へのハッキング

 ナスララ氏は、イスラエルの諜報機関がアラブ通信会社へハッキングして、データベースから数百万件の電話番号と加入者の名前などを奪い取ったと指摘。イスラエル人は標的の携帯電話やコンピュータを遠隔操作して電子メール、テキストメッセージ、写真、パスワードなどにアクセスできることや、携帯電話のマイクとカメラを秘密裏に作動させ、会話や行動を記録できる可能性があると警告した。

 また、イスラエルの諜報機関は、中東全域で使用されている安全でないインターネットに接続された無数の監視カメラや防犯カメラにもハッキングしており、ヒズボラをはじめとする武装組織の活動を監視しているとした。

 もはやスパイや工作員は必要とせず、携帯電話がスパイの役割を担っており、シーア派武装組織に対して携帯電話の電源を切って、金属製の箱に閉じ込めておくよう嘆願した。これらは「イスラエルに対する戦いのための忍耐」だとして、監視カメラをインターネットから切り離すよう警告したのである。


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