2024年4月27日(土)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2024年3月25日

いいか、みんな自分たちが欲しいのは自由だと思っているが、本当に欲しいのは秩序(オーダー)なんだ。そして、それがわかると、両手を広げて我々を歓迎してくれるのだ。
ヴァリン・ヘス(帝国軍将校)

 現在世界では、至る所で旧来の秩序が崩されようとしている。ウクライナしかり、ガザしかりである。米国も例外ではない。2000年に人気アニメ『シンプソンズ』で、ロナルド・トランプが大統領の近未来が描かれたとき、それはあくまでジョークであった。しかしいまやトランプは大統領経験者であり、二度目の当選さえも現実味を帯びてきている。

スターウォーズの世界と米国社会の共通点とは?(スターウォーズ公式HPより)

 もはや旧来の枠組みや常識では米国の政治は語ることはできない。ここでは、そのような現象を「秩序(オーダー)」と「カオス」という切り口をもちいて、米国の叙事詩ともいえるスターウォーズをもとに読み解いてみたい。

人が求めるのは秩序なのか、カオスなのか

 スターウォーズのスピンオフ作品である『マンダロリアン』のシーズン2エピソード7で、この記事の冒頭で掲げたセリフを帝国軍の将校であるヴァリン・ヘスが薄ら笑いを浮かべながら放つ場面は印象的だ。ここでヘスは、普通の人間がカオスを嫌い、秩序と支配を求めていると説いているが、これは一面の真理をついている。しかし、その様な人間の性質に対して、それは間違っていると目覚めさせる存在は歴史を辿っても時として登場する。

 スターウォーズの世界では、ジェダイやレベル(反乱者)がその役割を担っている。そもそもジョージ・ルーカスが創り出したスターウォーズは秩序とカオスとのせめぎあいの物語ともいえるが、その背景としては彼が青年期を過ごした反体制運動の時代の影響がみられることは明らかである。


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