2024年11月22日(金)

「永田町政治」を考える

2024年4月1日

前代未聞、首相自身の事情聴取

 二階氏に対しては今後、引退表明を考慮したうえでの、それなりの処分がなされるのだろうが、焦点は安倍派でキックバック継続を決めた2022年8月の会合に出席した4人の処分に移る。

 次期選挙での非公認など厳しい処分が検討されているというが、選挙後に復党させるなど甘い対応がなされることはないか。〝刺客〟候補をたてるなど党を永久追放するくらいの徹底的な処分でなければ有権者は納得しない。

 責任ある立場の人たちには重い処分を、そのうえで〝その他大勢〟にはしかるべきペナルティが科されるべきだ。

 処分決定にあたって、岸田首相自身が4氏の事情聴取を行った。閣僚、党役員経験者を処分するからには総裁自ら乗り出す必要があるということかもしれないが、内閣総理大臣が不祥事の細部について捜査官のように事情聴取するというのは、どうだろう。熱心さを通り越して、異常な印象すら感じざるを得ない。

 総理・総裁にそんなことをさせてだまってみている自民党全体ももはや正常とは言えまいが、岸田首相には、自身の思惑、計算があるのだろう。

早期解散でも勝機は十分?

 首相の狙いは衆院の解散だ。首相にとっては、この裏金問題さえなければ、総選挙を断行するにはベストタイミングだったはず。

 株価が4万円超えの過去最高値をつけ、春闘では要求以上の回答、満額回答が相次ぎ、6月からは定額減税が始まる。4月には国賓待遇で米国を訪問、上下両院での演説も予定されている。この余波をかったなら与党に十分勝機はあったろう。

 首相は3月28日夜の記者会見で早期解散を強く否定したが、こうした背景があるだけに、通常国会会期末の6月に解散に打って出るのではないかとの憶測が自民党では乱れ飛んでいる。安倍派幹部に自ら事情聴取、厳しい処分をすることで、世論向けに「自分自身が究明にあたって問題を処理した」と宣言、政治資金規正法改正案を可決して選挙を有利に運ぼうという思惑がうかがえる。

 その布石として4月にも抜き打ちで党役員人事、内閣改造を行うとの観測もある。裏金問題で手腕を発揮できない茂木敏充幹事長を更迭し、二階氏、菅義偉前首相と関係が良好な森山裕総務会長を幹事長に据えて挙党体制を整え、閣僚に小泉進次郎氏ら見栄えのする顔ぶれとするのではないかとも予想される。

 問題は4月に3選挙区で行われる衆院補選だ。裏金問題や区長選違反事件で現職自民党議員が辞職した長崎3区、東京15区では候補擁立を見送ったものの、細田博之衆院議長の死去にともなう島根1区で勝利すれば明るい材料になるだろう。苦戦を伝えられてはいるが、候補者の地道な選挙運動が実をあげ互角に持ち込んでいるとの分析もある。


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