メディア各社の世論調査によると、首相の支持率は軒並み20%前後の低空飛行だが、いずれの調査も下げ止まりの傾向を示している。
底を打つ気配は、一部メディアでは昨年暮れごろからみられたが、あの時期にそうした結果が出始めていたのはむしろ驚きだ。
的確な追及できず、野党の低迷
自民党内には、自民党と野党の支持率になお隔たりがあることに安堵する向きも少なくない。NHKの3月の調査の各党支持率は自民28.6%、立憲民主が6.8%、日本維新の会3.8%、公明3.1%、れいわ新選組2.5%などとなっている。読売の調査では、自民23%、立民8%、維新5%などいずれも自民党が圧倒的に強みを見せている。
野党の弱さについてはさまざまな見方がなされているが、有権者に対する政権担当能力のアピール不足が大きい。裏金問題をとってみても、野党は自民党の関係議員の政倫審への出席を執拗に求めていたが、実際に開かれてもウソや矛盾を指摘し、弁明者を立ち往生させることはできず、何ら成果へ結びつけることはできなかった。
政倫審がだめなら次は証人喚問を求めるなど次々の舞台装置の設置要求を繰り返すだけで、衆院予算委員長解任決議案の趣旨説明では3時間近い演説で予算案通過を阻もうとするなど55年体制時の野党を髣髴とさせるよう手段では、とうてい国民の支持は得られまい。
日本の国力、衰退の一途か
裏金問題のさなか、日本の国内総生産(GDP)がドイツに追い越されて世界4位に転落したという残念なニュースが伝えられた。ウクライナ問題でも、戦闘の長期化にともなって支援も息切れが見え始めて久しい。米国大統領選でトランプ氏がカムバックした時の備えはできているのだろうか。
どのメディアも報じなかったが、2月にドイツで開かれたウクライナ支援に関する主要7カ国(G7)を上川陽子外相は欠席、外務審議官を派遣した。理由は明らかではないが、G7議長国の任期が昨年いっぱいで終わったので、あとは「我関せず」かという批判も受けよう。
日本の官民が裏金問題に気を取られている間も世界は刻々と変化している。それについていけないのは日本だけだ。