2024年12月14日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月12日

 2024年3月13日付Taipei Times紙の社説は、バイデンの一般教書演説が台湾海峡の平和と安定を含む国際問題に焦点を当てたことを評価するとともに、孤立主義のトランプが11月に選ばれる場合に備え、台湾の頼清徳次期政権は米国や近隣諸国と対中脅威を共有し新たな戦略を立てるべきであると述べている。

(HUNG CHIN LIU/gettyimages)

 バイデン米大統領は3月7日、台湾海峡の平和と安定を支持することを約束した。彼の一般教書演説では初めてのことだ。彼は、「われわれは中国の不公正な経済慣行に反対し、台湾海峡の平和と安定のために立ち上がる」と述べた。

 バイデンは、アジア太平洋地域における国家のパートナーシップと同盟関係を再活性化させ、米国の最先端技術が中国の兵器に使用されないようにしたと付け加えた。

 11月の米大統領選挙はバイデンとトランプとの再戦になりそうだが、バイデンの一般教書演説は、米国の利益を優先する取引型の指導者で国際問題では孤立主義をとるトランプよりバイデンの方が国際問題で良い仕事をしてきたと主張できたと考えられている。

 バイデンの言葉は、台湾海峡を越えて増大する中国の軍事的侵入への警告のみならず、中国の経済的不公正と地政学的拡張主義との戦いは、ロシアと同様に大きな課題となるとの基調を打ち出した。バイデンの演説は、台湾を含む米国とその同盟国との関係を破壊する中国のプロパガンダによって長い間宣伝されてきた「アメリカ懐疑論」の台頭にも立ち向かった。

 5月に発足する頼清徳次期政権は、米国の選挙に備えるとともに、米国と相互に信頼できる有益な関係を確保するために、新たな戦略を立てるべきである。優先事項の一つは、台湾と中国の緊張関係をインド太平洋の枠組みの下に置き、米国の外交政策がその影響力を維持し、この地域の秩序を保つようにすることである。


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