2024年11月23日(土)

バイデンのアメリカ

2024年4月24日

 特に最近、バイデン陣営側のこうした動きに弾みをつける具体的きっかけになったとされるのが、去る3月7日、大統領自身が上下両院合同会議で行った今年の「一般教書演説」だった。

 大統領は全米で3200万人以上が視聴したといわれるこの重要演説を通じ、トランプ氏の名前こそ直接出さなかったものの、随所で「前大統領の負の遺産」に繰り返し言及、珍しく対立色むき出しの熱気のこもったものとなった。

 その姿勢がこれまで消極的だったといわれるバイデン支持者たちをいかに鼓舞したかを示す一例として、この演説終了後の24時間だけで、合計1000万ドル以上の個人寄付申し出があったことが指摘されている。

 さらに、同月28日夜、オペラなどの興行で世界的に有名なニューヨークの「Radio City Music Hall」で開かれたバイデン候補のための資金集め特別イベントでは、バイデン氏のほか、クリントン、オバマ元大統領も揃ってステージに登場、9800席の会場は熱心な支持者で埋め尽くされた。主催者側の発表によると、当日夜だけで集まった資金は2600万ドルに達したという。

劣勢挽回へトランプ陣営が大規模献金企画

 一方のトランプ氏は、これまで各州予備選段階で、ロン・デサンティス・フロリダ州知事、ニッキー・ヘイリー前国連大使ら他の共和党候補との指名争いに時間とエネルギーを割かざるを得なかったため、本選に向けての資金集めは出遅れた感があった。

 しかし、党指名がほぼ確実となった3月以降、陣営の財政担当チームが強化され、PR活動も本格化しつつある。

 予備選段階では特定候補への選挙資金配分を渋って来た「共和党全国委員会」(RNC)も、最近になってトランプ陣営との「共同預金口座」開設に踏み切った。その結果、3月末段階でのRNC側からの供出を含めた手元資金総額は、9300万ドルに達したことが明らかにされた。

 また、トランプ氏自身も、資金面での劣勢を挽回するため、富豪者たちを招いた個人的なイベント開催などに乗り出している。

 去る4月6日、ヘッジファンド億万長者で知られるマイアミのジョン・ポールソン氏邸宅で行われた豪華晩餐会では、出席した銀行家などから5000万ドル近くの献金が行われたという。同陣営では、今後も同様の大規模献金企画を予定している。

 ただ、こうした大口献金で豊富な資金が集まったからといって、それが本選での集票に直結するわけではない。むしろ、1口200ドル以下の小口献金者の多寡が決め手になるといわれる。

 この点、バイデン、トランプ両陣営を比較した場合、「Open Secret」のデータによると、バイデン氏側は、集金総額のうちの55%が大口献金者、45%が小口献金者で占められているのに対し、トランプ氏の場合は、大口献金者64%, 小口献金者36%の割合となっている。


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