3月28日、副大統領のジャグディープ・ダンカール(BJP)はニューデリーにおける米国法曹協会の会合で「世界にはわれわれの司法における振舞いについてわれわれにレクチャーをしたがる人々がある」「われわれは他人から教典を押し頂くような国ではない。われわれは500年を超える文明的精神を有する国である」と述べたと報じられている。
他国もインドを戒められるのか
上記の社説は、インドの民主主義の後退に口をつぐむことを戒め、他の西側諸国も米国に倣いインドに問題を提起すべく強くあるべきことを求めている。しかし、米国だけにはできても、他の諸国にとっては困難こともある。
例えば、昨年、インド政府の関与が疑われるシーク教徒の活動家の暗殺に係わるカナダと米国での事件が明るみに出たが、インドの両事件に対する対応の顕著な違いは、(両事件は性格を同じくはしないが)このことを想像させるに十分である。インドは、カナダの告発は馬鹿げているとしてカナダには激越な反撃に出た。
他の西側諸国はインドの地政学的な重要性を踏まえて個々のケースに慎重に対応せざるを得ないであろう。もっとも、米国とて、地政学的な観点は重視せざるを得まいが。
リチャード・ヴェルマ(国務副長官・元駐インド大使)は、2月20日、ニューデリーで講演したが、その中で「われわれはわれわれを結束させている共通の価値を遠く逸脱することは出来ないと知っている」「われわれの目標がもっぱら取引的なものとなるなら、60年代、70年代そして80年代の失われた時代に逆戻りするリスクを冒すことになる」と述べた。
正しくそういうことであろう。モディがなるべく早くこれに気付くことが望まれるが、その兆候はない。
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