平成時代の始まりと共に生まれ、「個」を重視して生き続けてきた宇垣美里。そんな彼女の価値観と、変わりゆく時代に対する考え方とは。「Wedge」2024年6月号に掲載されている「平成全史 令和の日本再生へ 今こそ知りたい平成全史」記事の内容を一部、限定公開いたします。
宇垣美里は、1991年生まれの、いわゆる「平成世代」だ。
幼い頃から平成を生きてきた宇垣は、人生を幸せに生きるためには、「自分らしさを見失わないこと」が必要ではないかと説く。
昭和の時代、日本企業やさまざまな組織の成長や発展を支えてきたことの一つに集団の強さがあった。だが、平成の時代を通じて、その価値観に大きな変化があった。宇垣は、個人という存在を「大きな集団の一員」としてのみ捉えるのではなく、「個」を重視することが重要だと考えている。
「私の同世代の友人には同じような考えの人が多く、後輩ならなおのことです。それは決して悪いこと、否定されるべきことではないと思っています」
いつの時代にも規範は存在する。例えば、宇垣が生まれる前までは、「男性は外で働き、女性は家を守る」「結婚すれば女性は寿退社」といったジェンダー規範が根強くあった。まさに「個」よりも、社会が求める「らしさ」に合わせて生きていくことが求められていた時代だった。
「両親からは、『女性らしく』とか『お姉さんらしく』と言われたことは一度もなく、『あなたのしたいように』という方針で育てられました。それが当然だとも思っていたのは、子どもの頃からいろいろな本を読んでいたからかもしれません」と宇垣は言う。