大阪市では、3月までの第8期は11段階だったが、第9期に15段階へ増やした。1000万円以上の所得者は最高の第15段階となり、月額2万7747円の保険料となった。
基準額9249円の3.0倍である。基準額からの倍率は、守口市が2.7倍、門真市は2.8倍、松原氏は2.9倍とほぼ同じ水準だ。
基準額に対する倍率を高めれば高めるほど累進性が高まり、応能負担の考え方が強まる。現実に累進性を高める自治体は多い。
東京23区の倍率をみると、目黒区が4.3倍、練馬区と世田谷区は4.9倍、中野区は5倍と高く、渋谷区では8.85倍と大きい。なかでも、23区中で生活保護者が最も多く、保護率も3.38%と最も高いのが足立区。大阪府内4市は低所得者が多いことを理由に挙げているのに対して、足立区はいかなる対応をとっているのか。動きに注目したい。
足立区の保険料は前々期が14段階で2.7倍と大阪並みだったが、前期は17段階に広げて4.5倍とし、今期は19段階に高めた。最高段階は所得3000万円以上の住民で月4万3880円になる。基準額の6.5倍と大幅引き上げとなった。
同区は総介護費用の上昇は避けられない中で、「低所得者にその負担を強いないように、応能負担を強化した」と説明する。19段階のうち1段階から5段階までは本人が住民税非課税の低所得者で、高齢者の61%も占める。そのため高所得者への負担をより高めるため、倍率を大きく引き上げた。その結果、前期より基準保険料を10円引き下げることが出来た。
大阪市など4市ではなぜこうした累進性の強化が出来なかったのだろうか。「急激な変化は好ましくない」「高所得者の絶対数が少ないから効果はあまりない」と慎重な答えが返ってきた。足立区の対応と対照的だ。
大阪で突出するサ高住の多さ
保険料の徴収方法については、このような疑問点があるが、大阪府内4市で介護サービスの総量が増えていることには変わりない。その要因として、もう一つ挙げられるのが高齢者専用の集合住宅の急増だ。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と住宅型有料老人ホームである。特別養護老人ホーム(特養)やグループホームなど介護保険制度の施設とは違い、開設や運営について自治体が作成する事業計画の対象外となる。事業者は需要を見込んで自由に開設できる。
サ高住は全国で8294件、28万7236戸(5月24日時点)ある。そのうち大阪府内には3万2481戸で、比率は11・3%にも達する。
2011年10月の制度発足以来、大阪府は常に10%以上の戸数を占め、全都道府県でトップを続けている。全国の高齢者人口に対する大阪府の比率は6%台に過ぎないから、大阪府の突出ぶりが際立つ。