2024年7月14日(日)

日本の医療〝変革〟最前線

2024年5月31日

一人暮らし高齢者はなぜ、保険料が上がるのか

 大阪の4都市はいずれも、一人暮らし高齢者と低所得者が多いことをあげる。一人暮らしになると、調理や掃除などの日常生活で不安感が高まり、軽度の状態から介護サービスに頼りがちだ。そのため「要介護認定率が高まってしまう」(大阪市)。

 大阪市の全高齢者世帯に対する独居高齢者の比率は45%に達し、全国平均の29.6%を大きく上回る。独居高齢者の要介護認定率を大阪市が独自に調べると23年で38.6%に上った。2人以上の世帯の場合の約2倍だという。この結果、大阪市の要介護認定率は27.3%に達し、全国平均の19.3%を8ポイントも上回る。

 要介護認定率が高ければ介護サービスの利用者は多いことになり、介護サービスの総額が増え、保険料は増えてしまう。守口市も独居高齢者が多く、高齢者世帯に占める比率は大阪市ほどではないが、38.7%に達する。要介護認定率は24%で全国平均より5ポイント高い。

 門真市でも「一人暮らし高齢者は増え続けている」としており、要介護認定率は23.2%である。松原市も同様の理由を挙げ、要介護認定率は同様に高く23.8%だ。独居高齢者が増えるのは日本全体の趨勢で、これらの都市は日本の将来像を先取りしているとも言えるだろう。

低所得者の多さも要因だが、注目すべき足立区の動き

 もう一つの理由、低所得者が多いことが保険料の上昇につながるのは、どうしてか。

 保険者の基礎自治体は、この先3年間の第9期の総サービス費用を想定し、65歳以上の人が負担する23%分を算出後に65歳以上の人口で割って基準保険料を決める。その基準額を基に所得に応じて倍率を作り、一人ひとりの金額を導く。

 低所得者には基準額から0.9や0.2などのマイナス倍率とし、逆に一定以上の所得者は倍率を所得に応じて1.5や2.5などと上げていき、全体として10数段階の保険料を決める。段階ごとの倍率は自治体が自由に決めるので、同じ所得でも自治体によって保険料は異なる。

 厚生労働省は標準保険料として従来の9段階を13段階に広げるよう今回自治体に示した。所得に応じての保険料、すなわち応能負担の考え方をより強化する狙いだ。

 これまでは所得320万円以上を最高の第9段階とし、基準額への倍率は1.7倍だったが、これからは所得720万円以上を第13段階とし、倍率を2.4倍に引き上げた。だが、すでに全国の半数の自治体は9段階以上の多段階を設けている。

 低所得者が多い自治体は、1.0の基準額以下の人が多くなるため、1.0以上の高齢者からより多くの保険料を徴収しなければならない。そのため、保険料の上昇を迫られる。


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