2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月28日

 一方、ヒズボラ側は、イスラエルと全面衝突すれば敵わないのは目に見えているので、抑制的に対応しているように見える。なお、イスラエルがシリア領内のヒズボラの拠点を激しく攻撃しているのは、ヒズボラがアサド政権を支援している見返りにシリア領内を聖域として利用しており、かつ、イランからの陸路空路のヒズボラへの支援がシリア経由で行われているためである。

イラン大統領の事故死も影響か

 問題は、仮に、近々、イスラエルが大規模なヒズボラ掃討作戦を行い、ヒズボラ側に大きなダメージが生じる場合、イランがあらゆる方法でヒズボラを支援しようとするはずであり、最悪、再びイランとイスラエルの間で直接戦火を交える可能性も排除されないことだ。

 イランにとりヒズボラは、イスラエルと対峙する上での最強の代理勢力だが、同時に世界中で唯一、イラン式のイスラム革命のイデオロギーを受け入れている団体(例えば、ヒズボラの指導者は聖職者のナスラッラー師で、イランと同じく聖職者による支配体制を取っている)であり、イランはヒズボラが大きなダメージを受けることは絶対に容認できないであろう。

 また、最近、上記ネタニヤフ首相の発言をはじめとしてイスラエル側のヒズボラに対する強硬な発言が急に増えているのは、ライシ大統領の事故死でイランの最高指導者の後継者問題が再燃しており、イランが内部の権力闘争でスムーズに動けないだろうというイスラエル側の読みがある可能性もある。

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