2024年6月30日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月28日

 ウォールストリート・ジャーナル紙の6月5日付解説記事‘Risk of War Between Israel and Hezbollah Builds as Clashes Escalate’が、昨年10月のガザの衝突以来、イスラエルとレバノンのヒズボラの間の緊張が高まっており、双方とも全面戦争にならないように努力しているが、同時に不測の事態にも備えていると解説している。要旨は次の通り。

2024年6月19日、ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプで、イスラエル軍による攻撃で破壊された家屋の近くを歩くパレスチナ人たち(ロイター/アフロ)

 何カ月もの間イスラエルとヒズボラとの間での敵対行為がエスカレートし、イスラエル政府に対して北部国境の安全保障を確保するよう圧力が高まる中、イスラエルとヒズボラは全面戦争に近づいている。ヒズボラ側は、イスラエル軍の重要な施設に対するドローンとロケットの攻撃を増加させ、イスラエル側もベカー高原のヒズボラの拠点とヒズボラの幹部に対する攻撃を強化している。

 米国とフランスは、外交的解決のための枠組みをつくるために何カ月間もイスラエルとレバノンの間を往復している。ヒズボラの部隊をイスラエルとの国境から6マイルの旧リタニ川のラインまで後退させ、そこにレバノン軍か国際的な部隊が展開する。イスラエルとレバノンは、既存の国境紛争についても協議するという内容と伝えられている。

 ヒズボラを撤退させることでイスラエルの居住地域をヒズボラの対戦車ミサイルの射程外とし、長年懸念されてきたヒズボラによるイスラエル侵攻を阻止することが出来ることになる。しかし、ヒズボラは、ガザの戦争がおわるまでイスラエルと取引はしないと主張している。

 さらにイスラエル北部の多くの住民は、ヒズボラは約束を守らないだろうとし、代わりにヒズボラの戦闘員が潜む国境近くのレバノンの村落を撤去することを要求している。

 2006年夏のイスラエルとヒズボラの衝突後に採択された国連安保理決議1701号によれば、ヒズボラは武装解除し、イスラエルとの国境から去らなければならないことになっているが、イスラエル政府関係者によれば、むしろ、ヒズボラは数千名の戦闘員と15万発以上のロケットやミサイルを国境地帯に持ち込んでいる。


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