2024年7月20日(土)

プーチンのロシア

2024年7月4日

「技術的問題」で閉店? 真っ暗になった海外ブランドの店舗

 高級な輸入品が流れる都心部ほど、海外企業の撤退の影響は色濃く出ていた。

 「この店舗は技術的な問題のため、閉店しました」

 モスクワの中心部、赤の広場に隣接する国内最高級のデパート「グム」を訪れると、きらびやかな建物の内部とは対照的に、テナントとして入っていた海外ブランドの店舗がことごとく閉店し、このような張り紙が貼られていた。この「技術的問題」という言葉は、ロシア語特有の言い回しで、いわば都合が悪い話を片付ける際に常に利用される言葉だ。真っ暗になった店舗にはどこでも、この張り紙が貼られていた。

多くの店舗が閉店したモスクワ市内の「グム百貨店」

 かろうじて営業していた欧米ブランドのスニーカーショップを訪れると、「ニューバランス」のスニーカーが1足4万円ほどで売られていた。日本の価格の2倍ぐらいだっただろう。私がしげしげと眺めていると、全身にタトゥーを入れ、サッカーユニフォーム姿の若い男性店員が「2月(侵攻開始時)以前と比べると3割ぐらい値上がりしている。でも、今なら少し割り引きますよ」と耳打ちしてきた。ありがたかったが、とても手が出る金額ではなかった。

 店を出ると、店内のベンチで休む老夫婦がいた。気を悪くさせることは重々わかっていたが、「日本の記者です。すっかり店舗が減ってしまいましたが、このような状況をどう思いますか」と尋ねると、男性がむっとした表情を浮かべ「私は、これでもまったく問題がないと思っている」と言い放って、その場を去っていった。

 グムを出ると、経済制裁の影響をさらに色濃く示している場面があった。クレムリンからモスクワ北部に続く目抜き通り、トベルスカヤ通りがシャッター街になっていたのだ。わずかに、ロシア資本の店舗が営業しているだけだった。日本でいえば、銀座の目抜き通りの店舗がことごとく閉まっているような感覚だろうか。通りを歩く人の数もどこか少なく、誰もが足早に過ぎ去っていった。

連載第2回「【乗っ取られた「丸亀製麺」】ロシアからの撤退を余儀なくされる西側企業 プーチンは知的財産の無断利用の推奨も」(7月5日公開)に続く

 

 

 

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