この高速道路の状況と相関関係があると思われるのが、下図が示す主要都市間の平均走行速度である。
車線数の少ない高速道路が多数を占める日本の主要都市間の平均走行速度は、欧州各国や中国の数値と比較して、かなり低いレベルにある。
さらに、下表に目を向けると、欧米先進国における高速道路の交通量分担率が30%以上であるのに対して、日本はその半分未満である。すなわち、車線数の少ない高速道路が多数を占め、主要都市間の平均走行速度が低い日本では、高速道路はあまり利用されていないと思われるのだ。
トラックドライバーの時間外労働を削減し、給与や待遇を改善し、ドライバー不足を解決したとしても、物流のほとんどをトラックに担わせていては、道路のキャパシティーの限界がそう遠くない将来に顕在化する可能性がある。
道路インフラの拡張は、現在の日本の財政状況や人口減少社会を考えると困難であろう。モーダルシフトよりも時間が必要であると考えざるを得ない。それが、日本の貨物輸送の根幹治療のためにモーダルシフトが不可欠であると、筆者が確信する主たる理由である。
世界有数の長さの海岸線に林立する港湾
前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入っていくことにして、内航海運にとっての道路とも言うべき、日本を取り巻く“海”に話題を移していくこととしたい。
まずは、下図をご覧頂きたい。
20万キロメートルを超える世界最長の海岸線を有するのはカナダであるが、その大半は北極圏にある。その点ではグリーランドやロシアの海岸線も同様である。同じ島嶼国であるインドネシアやフィリピンに次いで長い海岸線延長を有し、そのほとんどが一年中利用可能である日本は、世界有数の海洋国家であると言えるだろう。