しかも、日本の長大な海岸線上には130近い港湾が林立しており、その70%前後でコンテナの取り扱いが可能である。コンテナ取扱設備を備えていない港湾でも、RORO船の荷役は可能な港湾が多い。一般トラックターミナル数が日本全国合計で22カ所であることを考えると、これら日本の港湾は、極めて有用なインフラであると言えるのではなかろうか。
モーダルシフトへのカギは沿岸輸送
日本の海岸線に林立する港湾をインフラとして利用することを前提とすると、フェリー・コンテナ船・RORO船による沿岸輸送に注目する必要があるだろう。そこで、日本の沿海地方を4地方に分類し、その沿海4地方におけるトラック流動が日本の総トラック流動に占める割合を分析してみたのが下表である。
ご注目頂きたいのは、各沿海地方に属する都道府県間のトラック流動を意味する「都道府県間流動」と、各沿海地方に属する東北・関東・近畿等の地域間のトラック流動を意味する「地域間流動」である。
上表の右端の4地方合計を見ると、「都道府県間流動」が16.4%、「地域間流動」が5.8%となっている。フェリー・コンテナ船・RORO船による沿岸輸送が目指すべきが中長距離輸送であることを考えると、筆者は、当該3モードがモーダルシフトのターゲットとすべきは、この16.4%と5.8%の2つの流動をできるだけ多く取り込むことであると考えている。
次に、モーダルシフトを受け入れる側のフェリー・コンテナ船・RORO船による貨物流動をトラック流動の中に置いてみた場合、どの程度の比率になっているのかを分析したのが、下表である。
ご覧の通り、当該3モードの貨物流動の対総トラック流動比率は、4地方合計で「都道府県間流動」が0.167%、「地域間流動」が0.153%となっており、先述の16.4%と5.8%という数字とは、あまりに大きな乖離があるように見える。
では、この大きな乖離を埋めて、フェリー・コンテナ船・RORO船輸送がトラック輸送からのモーダルシフトを取り込むことは、非現実的なのであろうか。