2024年7月16日(火)

BBC News

2024年7月12日

オーストラリア国防軍(ADF)の兵士とその夫が11日、ロシアのためにスパイ行為をしていたとして、逮捕・起訴された。

調べによると、この夫妻は共にロシア生まれのオーストラリア市民で、ロシア政府に提供するためにADFの資料を入手していたという。

しかしオーストラリア警察は、軍事機密の「重大な流出は確認されていない」としている。

オーストラリア政府は2018年、外国からの干渉を防ぐための法制を強化したが、厳格な法律を導入したが、実際にスパイ罪に適用されるのは初めて。

起訴されたのは、キーラ・コロレフ陸軍二等兵(40)と夫のイーゴリ・コロレフ被告(62)。両被告は12日にブリスベンの法廷で、それぞれスパイ犯罪準備罪の疑いで裁判にかけられる。有罪となれば、最高15年の懲役刑が科される。

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は、国内の治安機関から「広範な説明」を受けたが、この件は現在裁判中のため、直接コメントすることは避けるとした。

オーストラリア連邦警察のリース・カーショウ長官によると、この夫妻は犯行が発覚する10年以上前からオーストラリアに滞在し、数年前に国籍を取得していた。

夫のイーゴリ被告は自営業の労働者として働き、キーラ被告は軍の情報システム技術者だった。キーラ被告は機密取扱資格を得るための人物調査に合格していた。

カーショウ長官は、キーラ被告が軍の休暇中に密かにロシアに渡航し、機密資料をロシア当局に転送するため、自分の仕事用アカウントにアクセスして機密資料を送るよう夫に指示していた可能性があると説明した。

また、これらの資料がロシア当局に送られたかどうかの捜査はまだ進行中で、罪状が今後、格上げされる可能性もあると述べた。

カーショウ長官は12日、オーストラリアの保安情報機構トップ、マイク・バージェス長官と共に記者会見したが、資料の内容や、当局がどのようにしてこの容疑についての密告を受けたしたのかといった質問には答えなかった。

しかしバージェス長官は、現在進行中のスパイの脅威は「現実のもの」だと述べた。

「複数の国がオーストラリアの機密を盗もうとしている。我々はそれを甘く見てもいけないし、慢心してもいけない」

「もしあなたがこの国でスパイ活動をしているなら、我々はあなたを探している。もしあなたがこの国でスパイされているなら、我々はあなたを見守っている」

カーショウ長官は、「我が国がスパイ活動や外国からの介入活動を特定し、妨害し続ける」ことに、オーストラリアの同盟諸国は「自信をもって良い」と強調した。

ADFは声明で、兵士1人が逮捕されたことは承知しており、「すべてのセキュリティー侵犯を真剣に受け止めている」と述べた。

(英語記事 Australian soldier charged with spying for Russia

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cd1x5wvz8nzo


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