2024年7月16日(火)

BBC News

2024年7月13日

米ニューメキシコ州で映画の撮影中、米俳優アレック・ボールドウィン氏(64)が小道具の拳銃を発砲し、撮影監督ら2人が死傷した事件をめぐる裁判で12日、ボールドウィン氏に対する審理が打ち切られた。

同州で2021年に行われていた映画「Rust」の撮影では、ボールドウィン氏がリハーサル中に使用した小道具の拳銃から実弾が発射された。これにより撮影監督のハリナ・ハッチンス氏(42)が死亡し、監督のジョエル・ソウザ氏がけがを負った。

この事件に関し、ボールドウィン氏に対する公訴が棄却されたのはこれで2回目。判事はこの裁判を誤審による審理無効とはせず、確定力のある決定として棄却した。このため、検察はボールドウィン氏を再び起訴することはできない。

この事件では、実弾がどのようにして撮影現場に持ち込まれたかが焦点となっていた。これについて、ボールドウィン氏の弁護士は、警察と検察が、銃撃に関係する可能性のある複数の銃弾を隠したと主張。弁護側は当局の捜査手法を疑問視し、事件現場の取り扱い方にミスがあったと訴えていた。

ボールドウィン氏の弁護士は、問題の銃弾はハッチンズさんの死に関連している可能性があったものの、別の事件の証拠として提出されたと指摘した。

検察側は、弁護側が指摘するその銃弾は事件とは無関係で、「Rust」の撮影現場から発見された銃弾とも一致しないと主張した。

しかし判事は、それでもなお、銃弾の情報をボールドウィン氏の弁護団と共有すべきだったとの判断を下した。

メアリー・マーロウ・ソマー判事は、「州による故意の情報隠しは意図的であり、意識的なものだ」、「裁判所がこの誤りを正すことはできない」と述べた。

NBCのシットコム「30 ROCK」やコント番組「サタデー・ナイト・ライブ」のドナルド・トランプ前米大統領役などで知られるボールドウィン氏は、裁判官が審理棄却の理由を詳細に記した長い声明を読み上げると泣き崩れた。妻のヒラリア氏は口を覆い、他の家族は泣きながら微笑んだ。

ボールドウィン氏は弁護士を抱きしめた後、後ろに座っていたヒラリア氏を抱きしめた。2人は手をつないで報道陣のトンネルを抜け、質問にもコメントにも答えず、黒い車に乗り込んだ。

この事件について、ニューメキシコ州サンタフェの地区検事事務所は昨年2月、ボールドウィン氏と武器担当者を過失致死罪などで訴追していた。

しかし検察はその後、新たな証拠が見つかったため、、捜査に時間が必要だとして、ボールドウィン氏に対する提訴をいったん取り下げた。

検察は今年1月にボールドウィン氏を再び訴追。少ない予算と経験の浅いキャストで構成された映画撮影現場で、ボールドウィン氏が銃の安全性を著しく無視したと主張した。

ボールドウィン氏はこれに対して、無罪を主張。銃が暴発しハッチンズさんが死亡した際、自分は引き金を引いていないと述べていた。

弁護団は、ボールドウィン氏は撮影現場で仕事をする俳優であって、撮影現場での武器の安全確保を担当する撮影スタッフを信用していたに過ぎないと述べていた。

ボールドウィン氏と共に訴追されていた武器担当者のハナ・グティレス=リード受刑者は、今年3月に過失致死罪で有罪評決を受けている

(英語記事 Alec Baldwin's Rust trial dismissed over hidden evidence

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4ngzzdrrm8o


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