2024年7月16日(火)

BBC News

2024年7月14日

ドナルド・トランプ前米大統領が13日、東部ペンシルヴェニア州バトラーで開いた支援者集会で、演説中に銃声のようなものが響いた。前大統領はすぐさま屈みこみ、警護のシークレットサービスに守られながら車両に乗り込み移動した。トランプ陣営によると、前大統領は「無事」という。シークレットサービスは、男性容疑者と観衆の1人が死亡したと明らかにした。

連邦捜査局(FBI)は14日未明、容疑者の名前をペンシルヴェニア州ベセル・パーク在住の男性、「トマス・マシュー・クルックス」と発表した。20歳だったという。ベセル・パークは、事件現場のバトラーから約70キロ離れている。

米メディアによると、クルックス容疑者は州の有権者登録記録に共和党支持者として登録していた。さらに、2021年にはリベラル派グループに15ドルを寄付したという記録があるという。

トランプ前大統領は事件後、自分のソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに「銃弾が右耳の上部を貫通した」と書いた。集会会場から近くの医療施設に運ばれた前大統領は、13日中に医療施設を離れ、ペンシルヴェニア州バトラーも後にした。14日未明にニュージャージー州のニューアーク空港に到着すると、歩いてタラップを降りた。

シークレットサービスの発表によると、銃撃犯とみられる人物が13日午後6時15分ごろ、「集会会場前の高い位置から」ステージに向かって複数回発砲した。

FBIやペンシルヴェニア州警察は同日夜に記者会見し、前大統領に対する暗殺未遂事件として捜査していると言明した。この時点では、DNA鑑定の結果を待つとして容疑者の氏名などは発表せず、動機も不明だとした。

容疑者はシークレットサービスに制圧され死亡した。集会参加者の1人が死亡し、2人が重傷を負ったという。死傷した3人の集会参加者はいずれも、成人男性だという。

ホワイトハウスによると、ジョー・バイデン大統領は同日夜、負傷したトランプ前大統領と電話で会談した。内容は発表されていない。

こぶしを突き上げ

現場では、銃声のような音がした直後、トランプ前大統領は檀上で顔をしかめ、右耳を手で押さえ、すぐさま屈みこんだ。駆け寄ったシークレットサービスが、前大統領をかばい覆いかぶさった。

銃声はさらに続き、会場では悲鳴が相次いだ。

前大統領はその後、シークレットサービスにぐるりと囲まれた状態で立ち上がった。右耳に血がついている様子が見えた。

映像では、立ち上がった前大統領が「靴をとらせてくれ」とシークレットサービスに言うのが聞こえる。続いて前大統領はこぶしを突き上げ、観衆に向かって叫びながら、歩いて警備車両に乗り込んだ。

前大統領がこぶしを突き上げると「USA! USA!」の連呼が続いた。前大統領は「Fight!(戦おう!)」と繰り返し叫んでいた様子。

シークレットサービスは現職大統領だけでなく、大統領経験者の警護も担当する。

ペンシルヴェニア州は11月の大統領選で重要な激戦州。前大統領は大統領選で共和党の指名候補となることが確実な状況となっている。

前大統領がSNSに投稿

トランプ前大統領はその後、自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに投稿。「銃弾が右耳の上部を貫通した」、「何かがおかしいとすぐにわかった。シュッという音と銃声が聞こえ、すぐに銃弾に皮膚が裂かれたのを感じた」と説明し、「たくさんの出血があったので、何が起こっているのかその時に気づいた」とした。

前大統領はまた、シークレット・サービスや警察の素早い対応に感謝を表明。さらに、「最も大事なことだが、殺害された集会参加者の家族に追悼の意を伝え、重傷を負ったもう一人の家族にもお見舞いの気持ちを伝えたい」とした。

そして、「私たちの国でこうした行為があるなど、とんでもないことだ。死亡した銃撃犯については現時点では何もわかっていない」と付け加え、「アメリカに神のご加護を!」の言葉で締めくくった。

「屋根の上に男がいた」と目撃者

現場を目撃したというグレッグさんは、BBCの取材に対し、前大統領が演説を始める5分ほど前に、「クマのように」屋根の上をはう不審な人影を見かけたと話した。その人影について、グレッグさんは警察に指摘したという。

「男はライフルを持っていた。明らかにライフルを持っているのが見えた。自分たちはこの男を指でさしていて、警察は地面を走り回っていた。『屋根の上にライフルを持った男がいるぞ』と言っていたのに、警察は何がなんだかわかっていなかった」と、グレッグさんは話した。

別の目撃者のジェイソンさんはBBCに、立て続けに5発の銃声を聞いたと話した。

「シークレットサービスがトランプを守るためにとびかかるのが見えた。集まっていた全員がすぐに、地面に伏せた。(トランプ前大統領は)すぐに立ち上がって、こぶしを突き上げて、何か言っていた」

バイデン大統領らが言及

この事件を受け、ジョー・バイデン大統領は記者団を前に、「アメリカでこのような暴力は許されない。ひどい、ひどい」と繰り返した。

暗殺未遂だったと思うかどうか記者団に質問されると、「すべての事実を明らかにしたい」と答えた。また、「こんなことは許されない」と強調した。

ホワイトハウスによると、バイデン大統領は同日夜、負傷したトランプ前大統領と電話で会談した。内容は発表されていない。

大統領の発言に先立ちバイデン陣営の選対関係者は、選挙運動のすべての発信を一時停止し、テレビ広告の取り下げも早急に進めていると述べていた。

カマラ・ハリス副大統領も、トランプ前大統領が重傷を負わずに「ほっとした」とする声明を発表。「彼と彼の家族、そしてこの無意味な銃撃によって負傷し、影響を受けたすべての人々のために祈っている」とした。

そして、「このような暴力は私たちの国では許されない。私たちは皆、このおぞましい行為を非難し、これがさらなる暴力につながらないよう、自分の役割を果たさなければならない」とした。

(英語記事 Live ReportingTrump rushed off stage at rally as bangs heard

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cjr4w4ljpneo


新着記事

»もっと見る