収賄など16件の罪に問われたロバート・メネンデス米上院議員（民主党、ニュージャージー州選出）に対し、ニューヨーク市内の連邦裁判所の陪審団は16日、有罪の評決を言い渡した。かつて上院外交委員長も務めた民主党重鎮の同議員は、外国政府に協力する引き換えに現金のほか、金の延べ棒や高級車メルセデス・ベンツなどのわいろを受け取っていたとされた。
これによりメネンデス議員は、数十年に及ぶ禁錮刑が言い渡される可能性がある。
検察によると、エジプトやカタールなどの政府とかかわりのある実業家たちが、エジプトへの政府援助を確保したり、カタールの投資ファンドから数百万ドルを得たりする目的で、メネンデス議員に働きかけた。引き換えにメネンデス議員は、10万ドル（約1580万円）以上に相当する金の延べ棒などを受け取っていたという。
裁判では、連邦捜査局（FBI）の捜査員が議員の自宅を家宅捜索した際に現金48万ドルが見つかり、その一部は封筒やコートに詰め込まれていたとの説明があった。
検察は証拠品として、金の延べ棒の一部を陪審員に提示していた。
議員に対する贈賄などの罪で起訴された実業家のうち、2人は議員と同じ16日に有罪を言い渡された。3人目は今年3月の時点で、司法取引に応じて有罪を認めていた。
メネンデス議員は無罪を主張していた。弁護団は、議員が金品を受け取って便宜を図るための具体的な行動に出たと検察側が立証できなかったため、議員が受け取った金品はわいろに相当しないと主張していた。
メネンデス議員の妻も起訴されているものの、乳がん治療を受けるために公判は延期されている。妻も無実を主張している。
有罪評決の後に裁判所の外で記者団を前にしたメネンデス議員は、重ねて無罪を主張。「私は公職への誓いを破ったことなど一度もない」、「私はひたすら国の愛国者で、常にこの国を愛してきた」と述べた。
アダム・フィー弁護士は有罪評決に「驚き落胆」したと述べ、「激しく」控訴する方針を示した。
他方、民主党幹部のチャック・シューマー上院院内総務は声明で、「メネンデス上院議員はもはや、自分の選挙区の有権者のため、上院のため、そしてこの国のため、辞職しなくてはならない」と述べた。
メネンデス議員と同じニュージャージー州の選挙区選出のアンディ・キム下院議員（民主党）は、州にとって「悲しい沈痛な日」だとして、「有罪となった今、ただちに議員辞職するしか（メネンデス氏に）残された道はないと思う」、「ニュージャージーの人たちはもっと良い（代表を）得るべきだ」と述べた。
メネンデス議員は下院議員などを経て、2006年に上院議員に初当選。2015年にも、豪華な休暇旅行やプレゼントなどと引き換えに裕福な医師に政治的便宜を図ったとして、収賄罪などで起訴されたものの、陪審団の評決が成立せず、裁判は2017年に審理無効で終わった。
