2024年12月21日(土)

商いのレッスン

2024年7月27日

地域と一体となった経営

 地産地消ならぬ「地産地食」を掲げているのも特徴だ。約8割の食材は北海道産であり、肉は鶏・牛・豚いずれも100%道産。例えば年間175万食を売り上げる看板商品、チャイニーズチキンバーガーに使う鶏肉は伊達市産、レタスは北斗市産だ。冷凍物は一切使用せず、ハンバーグのミートパテも毎日手作り。産地から近く、食材の調達に便利な函館周辺に商圏を限定するからこそ、強みを発揮できる。

 地域密着について王さんは語る。

 「地域に根差し、地域を愛し、地域に育てられ、恩返しする気持ちが根底になければ、地域で繁盛する店をつくることはできない。小さな商圏では私の顔も、スタッフの顔も近所に知られています。私たちの言動や態度、生き方が地域の人々に見られている。生半可なことをしたらたちまち信頼を失います。逆に、地味なことをコツコツやり続けてきた姿を常に見守り、評価してくれるのも地域の人々なのです」

 地域密着とは一時のブームではなく、時間をかけて少しずつ築き上げていくもの。それは「地域一体」と言うべきものだ。あなたの行う地域密着は、じつは大手の真似や追随になってはいないだろうか。

【商いの言葉】
愛される商人とは頼れる隣人であり
賢い生活者であり誠実な人間である
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Wedge 2024年8月号より
JAPANESE, BE AMBITIOUS! 米国から親愛なる日本へ
JAPANESE, BE AMBITIOUS! 米国から親愛なる日本へ

コロナ禍が明けて以降、米国社会で活躍し、一時帰国した日本人にお会いする機会が増える中、決まって言われることがあった。 それは「アメリカのことは日本の報道だけでは分かりません」、「アメリカで起こっていることを皆さんの目で直接見てください」ということだ。 小誌取材班は今回、5年ぶりに米国横断取材を行い、20人以上の日本人、米国の大学で教鞭を執る研究者らに取材する機会を得た。 大学の研究者の見解に共通していたのは「日本社会、企業、日本人にはそれぞれ強みがあり、それを簡単に捨て去るべきではない」、「米国流がすべてではない」ということであった。 確かに、米国は魅力的な国であり、世界の人々を引き付ける力がある。かつて司馬遼太郎は『アメリカ素描』(新潮文庫)の中で、「諸民族の多様な感覚群がアメリカ国内において幾層もの濾過装置を経て(中略)そこで認められた価値が、そのまま多民族の地球上に普及する」と述べた。多民族国家の中で磨かれたものは、多くの市民権を得て、世界中に広まるということだ――


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