2024年7月31日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年7月31日

 有力メンバーであるホーリー上院議員等の発言では、キリスト教の歴史についての神がかった解釈の下に、キリスト教ナショナリズムが米国を形成したとして、その良き伝統が、リベラリズムやグローバリゼーションにより崩壊しようとしており、米国の伝統的価値である、家族、故郷、労働、信仰を守らねばならないといった主張をしている。そして、移民を白人中心社会であるべき米国の人口構成を変容させるものとして排斥し、社会的エリート層や大企業は格差を拡大して家庭を崩壊させており、或あるいは、多様性尊重、性的マイノリティ保護、ジェンダー平等の主張は、白人や男性を差別し、中絶は生命を軽視し家族愛を否定するものと見ており、気候変動対策にも消極的である。

 これらの主張はこれまでのMAGAの極右の主張とほぼ一致するものであり、大統領選挙でNatConが前面に出ることは、リベラル派のみならず無党派層からの反発や警戒を招き、共和党にプラスとなるか否かは疑問のようにも思える。

欧米極右との連携深まる

 この論説は、論者の立場上NatCon派の影響力や脅威をやや過大評価している面もあるように思われる。トランプが勝つにしても、副大統領の役割は限られており、トランプ自身がどこまでこのNatConの主張に乗るのかにもよるであろう。

 また、上下両院選挙の結果、共和党が上院でも多数を占めるか否か、また、これまでは主流を占めて来た共和党の伝統的保守派との力関係がどのように変化するかにもよるであろう。他方、NatConでの交流を通じて欧州の極右が勢いを増し、欧米の極右の間の提携が深まることは確かのように思える。

 
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