2024年8月10日(土)

BBC News

2024年8月10日

BBCは9日、未成年のわいせつ画像を作成した罪状3件で有罪を認めた、元有名キャスターのヒュー・エドワーズ被告(62)に、昨年11月の逮捕時から今年4月に辞職するまでの給与20万ポンド(約3700万円)を返還するよう求めたことを明らかにした。

BBCのサミール・シャー理事長は9日、全従業員にあてたメールで、エドワーズ被告が自分の行動について承知しながら給与を受け取り続けていたことは、「信義則に違反する」不誠実な行動だったと批判した。

シャー理事長は、エドワーズ被告が表向きは世間から尊敬され親しまれていたニュースキャスターでありながら、「スタッフと視聴者の信頼を裏切った」として、「二重生活を送っていた」と批判した。

理事長はさらに、「この件の悪者」はあくまでも被告であって、被害者は被告によって屈辱的に扱われて商品化された子供たちだと非難した。

ロンドン警視庁によると、被告が有罪を認めた行為は、2020年から2022年の間に行われたとされている。チャットアプリ「ワッツアップ」で共有された画像37枚に関するものだという。

被告が給与返還に応じなかった場合、BBCがどのような法的措置をとるのかは明らかになっていない。

エドワーズ被告はかつて、BBCで最も有名なニュースキャスターの一人だった。昨年11月に、子供のわいせつ画像作成容疑3件で逮捕された後も、今年4月に辞職するまで給与を受け取り続けていた。

被告は昨年7月に別の疑惑をめぐり停職処分になっていた。

BBCのティム・デイヴィー会長はBBCニュースによる今月初めのインタビューで、エドワーズ被告が昨年11月に、子供のわいせつ画像作成の疑いで逮捕され、最も深刻なカテゴリーも容疑に含まれると承知していたことを明らかにした。

被告の逮捕当時、BBCとして本人がそうした画像の所持を認めるか本人に対して確認しようとしたものの、事実確認ができなかったのだとされている。

BBC理事会は9日の声明で、デイヴィー会長ら経営陣による当時の判断を「支持する」とコメントした。

理事会はさらに、もしもエドワーズ被告が逮捕時のBBCの問い合わせに正直に答えていたなら、「(受信料など公的資金から)彼の給料を払い続けるなど、決してしなかった」とも強調した。

「(エドワーズ被告は)明らかに、BBCへの信頼を損ない、私たちに不名誉をもたらした」とも理事会は述べた。

理事会はさらに、「この時期の経験から何を教訓にできるか点検する」ことで理事会は合意したと明らかにした。「従業員が停職になった際の給与支払いをめぐる社内規則についても点検」していくという。

エドワーズ被告の罪状は本人の私生活に関するものだが、「一連の出来事は、職場でのいびつな力関係にもスポットライトを当てる結果になった」とも、理事会は指摘した。

被告は2023年4月から退職した2024年4月までの間に、47万5000ポンド(約9140万円)~47万9999ポンドの給与を受け取っていた。前年からは4万ポンド昇給していた。

これに加えて、BBCの有料コンテンツ制作・販売部門「BBCスタジオズ」は、国民的イベントの中継業務について、被告に報酬を支払っていた。この金額は公表されていない。

イギリス政府のリサ・ナンディ文化相は今月2日、被告が20万ポンドをBBCに返還すべきだと発言していた。

職場慣習の点検

BBCはさらに、社内の職場慣習についてあらためて点検すると発表した。点検対象には、「BBC内ですでに行われている仕事のほか、業界内での仕事についても適宜」含まれることになるという。

点検の進め方や責任者などについては、9月初めに公表される。

ナンディ文化相はこの点検作業を歓迎し、「国民がBBCを信用することの重要性」を強調した。

「BBCの従業員は、職場で安心して働くことができなくてはならない。そして、編集内容についてではない苦情について、BBCがただちに対応し、公平かつ断固たる姿勢で取り扱うと、スタッフが確信できていなくてはならない」とも、文化相は述べた。

ナンディ氏は「公共の利益につながるこうした点について伝えるため」すでにBBC理事長と会話したことも明らかにした。

BBCは、エドワーズ被告の担当弁護士にコメントを求めている。

(英語記事 BBC asks Huw Edwards to return more than £200,000

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cq82vjyn8e9o


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