2024年11月22日(金)

オトナの教養 週末の一冊

2024年9月1日

香港の記憶

わたしの香港 消滅の瀬戸際で
カレン・チャン(著)、 古屋美登里(訳) 亜紀書房
2750円(税込)

 「拠って立つ自己の姿」がないと語られる香港。本書は、著者がさまざまな国や文化に囲まれながら、1997年〜2020年の香港の姿を内部から描いたノンフィクションだ。狭くて環境が悪い、高い賃料のフラット(マンション)の話や、使用言語の違いが貧富の差に表れる話など、香港の生活の等身大のものである。目まぐるしく変わり、抗議デモの影響が残るこの都市を、著者自身はどのように考えているのか。香港に対する印象が変わるかもしれない。

属人的でない地方創生のために

地方創生 先駆者モデル 地方創生先駆者会議
(監修)、 EYストラテジー・アンド・ コンサルティング(著)
中央経済社
3300円(税込)

 地方創生の成功は、属人的でいいはずがない。そのような思いから成功した地方創生の例を取り上げ、その「型」のようなものを共通言語化していく。島根県にある隠岐諸島内の高校の生徒数減少に対して、全国から生徒を募集する「島留学」制度をつくった事例や、「合併しない」ことを選んだ岡山県の西粟倉村のローカルベンチャーを支援する事例。それらの「成功の型」を抽出してまとめ、地方創生に携わった人、これから関わる人の地方創生への解像度を上げていく。

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Wedge 2024年9月号より
エネルギー確保は総力戦 日本の現実解を示そう
エネルギー確保は総力戦 日本の現実解を示そう

ロシア・ウクライナ戦争の長期化により、世界的潮流であった「脱炭素」の推進に〝黄信号〟が灯り始めている。 各国ともに自国のエネルギー確保に奔走しているが、なかでも脱炭素社会の実現を主導して進めようとしていた欧州は、侵攻後、世界中から液化天然ガス(LNG)をかき集め、それによりガス・LNGの価格は一気に高騰した。 影響を受けたのは、化石燃料依存度の高いグローバルサウスなどの国々である。「なりふり構わず」の姿勢から、欧州が掲げた脱炭素という〝美しい理念〟とはいったい何だったのか、疑問に感じる読者も多いだろう。 そうした状況にあっても、資源小国日本の危機感は薄く、国のエネルギー政策は迷走を続けている――


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