イスラエルは19日、レバノン南部で大規模な空爆を実施したと発表した。イスラム教シーア派組織ヒズボラのロケット弾発射装置100基以上と、武器貯蔵施設など「テロリストの拠点」を、戦闘機で攻撃したとした。
イスラエル国防軍(IDF)は19日夜、戦闘機で「発射装置約100基と、イスラエル領土に向けてすぐにでも使用可能だった砲弾約1000発があったテロリストのインフラ施設を攻撃した」とする声明を発表。
「IDFはイスラエル国家防衛のため、テロ組織ヒズボラのインフラと能力を低下させる活動を続けていく」とした。
この攻撃による死傷者の有無は、すぐには明らかにされなかった。
レバノンの国営通信によると、同国南部で19日夜、イスラエルによる空爆が少なくとも52回あった。レバノンも、イスラエル北部の軍事拠点に対して攻撃を仕掛けたという。
ロイター通信と米紙ニューヨーク・タイムズは、この夜のイスラエル軍の攻撃はパレスチナ自治区ガザ地区での戦争が始まった昨年10月以降で最も激しいものの一つだったとする、レバノン治安筋の話を伝えた。
この攻撃に先立ち、ヒズボラ指導者のハッサン・ナスララ師は19日、レバノンで相次いだ通信機器の爆発について、「すべての越えてはならない一線を越えた」と述べ、イスラエルによる宣戦布告だと非難した。
イスラエルは、17日と18日にレバノン各地であったポケットベル型通信機器やトランシーバー(無線機)の一斉爆発について、関与を認めていない。レバノン当局によると、これらの攻撃では37人が死亡、約3000人が負傷した。
イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は、同国が「戦争の新たな局面」に踏み出したとし、レバノンと国境を接する北部での活動に力を入れると表明している。
レバノン南部では19日朝、ヒズボラが対戦車ミサイル2発を、国境の向こうのイスラエルに発射。ドローン(無人機)も飛ばした。
IDFは、イスラエル兵2人が死亡し、1人が重傷を負ったとした。
イスラエル北部をめぐっては、ガラント国防相が、住民たちを自分の家に安全に戻すことが目標だとしている。
イスラエルがこれをどのように達成する考えなのか、明らかではない。報道では、レバノン南部にイスラエルが管理する緩衝地帯を設けることを、IDFの北部司令部が望んでいるとされる。
こうしたなか、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、「事態を悪化させる行為は望ましくない」として、すべての当事者に自制を求めた。
イギリスのデイヴィッド・ラミー外相も、イスラエルとヒズボラの即時停戦を求めるとし、「イスラエル人がイスラエル北部の自宅に戻り、レバノン人も自宅に戻れるように、交渉による政治的解決が望まれている」と述べた。
(英語記事 Israel says 100 Hezbollah rocket launchers hit in Lebanon)