イスラエル軍は20日、占領下のヨルダン川西岸地区を襲撃した際にイスラエル兵がパレスチナ人3人の遺体を屋上から投げ下ろす映像が撮影されたことを受け、調査を開始した。
ジェニン近郊の北部の町カバティヤで撮影された映像では、イスラエル軍のブルドーザーが遺体を拾い上げ、運び出す様子を映しているように見える。
この映像は広く怒りを呼んでいる。イスラエル国防軍(IDF)は20日、これは「深刻な事案」で、イスラエル軍の価値観に「合致」していないと述べた。
パレスチナの地元当局によると、19日にはイスラエル軍によって少なくとも7人が殺害された。
国際法では、兵士は敵の戦闘員を含め、遺体を丁重に扱う義務がある。
IDFは、カバティヤで対テロ作戦を実施し、「銃撃戦」で戦闘員4人、ドローン(無人機)による車への攻撃で3人が死亡したと発表している。
カバティヤにいるジャーナリストはBBCに19日朝、イスラエル軍が町の中の建物を包囲したと話した。
このジャーナリストによると、この住宅にいた男性4人が屋上に逃げ、狙撃兵に撃たれたという。
カバティヤでは戦闘が続いたが、それが収まった際、イスラエル軍が屋根に上がり、遺体を横から落とし、ブルドーザーに積み込むのを見たと、このジャーナリストは語った。
IDFは映像について問われると、「これは(我々の)価値観や、兵士への期待に合致しない重大なできごとだ。現在調査中だ」と答えた。
また、カバティヤで殺害された1人は、「ヨルダン川西岸地区北部での攻撃の指揮と実行の責任者」だったシャディ・ザカルネ氏だと説明した。
IDFは、ザカルネ氏がカバティヤの「テロ組織のトップ」だったと述べたものの、どの組織に属していたかは明らかにしなかった。
ヨルダン川西岸のパレスチナ外務省は「X」(旧ツイッター)で、このできごとをイスラエル軍の「残虐性」を暴露した「犯罪」だと表現した。
米ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障報道官は、この映像は「きわめて不穏なもの」だと述べた。
「もし本物だと証明されれば、プロの兵士による忌まわしくひどい行動が示されていることは明らかだ」
パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスによる昨年10月7日のイスラエル攻撃と、それに続くガザでの戦争以来、ヨルダン川西岸での暴力が急増している。
パレスチナ自治政府の保健省によると、これまでに690人以上のパレスチナ人が西岸地区で殺害されたという。また、イスラエル軍はほぼ連日の捜索と逮捕を強化している。
イスラエルは、ヨルダン川西岸とイスラエルにおけるパレスチナ人の攻撃を食い止めようとしていると主張する。イスラエルによると、パレスチナ側の攻撃によって、少なくとも33人のイスラエル人が殺害されたという。
ガザ地区でハマスが運営する保健省によると、イスラエルの軍事行動によって、これまでに4万1000人以上のパレスチナ人が殺害されている。
(英語記事 Israel investigates after its soldiers filmed throwing bodies off roof