この作戦の成功に鼓舞されて、西方ではラカイン族、北方ではカチン族、南東部のタイ国境地域ではカレン族がその支配地域を拡大し、軍は後退を余儀なくされることとなった。
MNDAAとTNLAのマンダレーを目指す動きは、分裂を深めるだけではなく、ミャンマーを混乱に陥れる引き金ともなりかねない。もっとも、彼らが本来の地元であるシャン州を離れてミャンマー中央部にまで進出することに実際に踏み込むのかは疑問である。
中国は、混乱が権力の空白を生み、民主派の進出を助けることは避けたい。「10.27作戦」の背後で糸を引いたのは中国であるが、今や、MNDAAとTNLAを抑制し得ず、中国は手を焼いている、とこの記事は観察している。
ASEANや日本関与の必要性
この記事は、マンダレーを目指すに当たりBrotherhoodが民主派勢力と連携し始めたことに着目し、西側が民主派のNUG(国民統一政府)に直接関与することを勧告している。軍事政権の打倒が無理だとすれば、西側としては上述のミャンマーの分裂状態という面倒な現実を受け入れることが次善の選択肢かも知れず、そうであれば、異例であるがNUGに直接関与することも検討されねばならないであろう。
中国の独り舞台にしておくことは望ましくないということもある。しかし、NUGに直接関与するにしても、国内の戦闘が中期的に停止されるとの見通しが必要のように思われ、そのための役割が東南アジア諸国連合(ASEAN)あるいは日本に期待されるのかも知れない。