2024年11月21日(木)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2024年10月25日

 建国当初選挙権を与えられたのは一定の財産を持つ白人男性であった。しかし、それに対する反発も大きく、白人男性であればすべてに選挙権を与えるというアンドリュー・ジャクソンのジャクソニアン・デモクラシーへとつながっていく。トランプ在任中のホワイトハウスの執務室にジャクソンの肖像画が飾られていたのと無関係ではない。

 トランプを2016年に当選させたのは、恵まれた一部の人々がワシントンのインサイダーとして権力を独占することへの反発であった。民主党候補として庶民の味方を訴えたヒラリー・クリントンも、ウォールストリートやワシントンのインサイダーとの強い結びつきが見え隠れしたことが大きなマイナスとなった。この反知性主義が今日勢いを増しているように見えるのである。

「論理的に正しい」が選挙に勝つわけではない

 ハリスは検察官として、法を行使する側で活躍してきた。悪を追い詰める知性的な弁舌は彼女の大きな魅力である。ところが、反知性主義の文脈では、知的な彼女の振る舞いは必ずしも米国民全体に訴えかける魅力にはならないのである。法廷であれば、論理的に正しい方が勝つかもしれないが、選挙においては論理的整合性や正しささえおいていかれ、その与える印象が大きな意味をもつ。

 一般大衆にどうアピールし、その票をどちらの陣営がより多くとりこめるのか。ここからの選挙の行方を決めるのはそこかもしれない。

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