「AGENDA 47」は一昨年12月から昨年9月にかけて、トランプ氏によるビデオ・メッセージの形でウェブサイトに五月雨式に掲載された。しかし、米メディアは当時、トランプ氏の“虚言癖”に対する教訓から、とくに大きな関心を示しておらず、従って、ビデオでの「公約」についても、散発的に報じただけだった。
そこで、トランプ次期政権発足が決まった今、世界でとくに注視の対象となると思われる内政、外交に関するハイライトを以下に紹介する。そのすべてについて「私は・・」の1人称のかたちで論じられている。
インフレ、中国を〝退治〟
〈経済政策〉
「ジョー・バイデンは経済にとって、“災害(disaster)”となってきた。大規模な税引き上げ、反エネルギー・キャンペーン、何兆ドルもの無駄な支出によって、バイデンはここ半世紀の中で最も高いインフレを引き起こした。金利は破滅的に上がり、銀行倒産も増え、経済大恐慌の淵にある。
私はかねてから言ってきたことだが、倒産企業救済はやるべきではない。しかし、現下の経済は早急に立て直す必要がある。
私がホワイトハウスに戻った場合、ただちに、エネルギ―生産を加速させ、規制を撤廃し、インフレを鎮めるために、これまでの(高い)バイデン税率を廃止する。金利を正しいレベルに戻すために速やかに実行に移す」
〈対中国政策〉
「民主党およびワシントンの名ばかりの一部共和党員たちはこれまで、ナンセンスな『グリーン・ニュー・ディール』、馬鹿げた外国の戦争、および世界中からの不法外国人居住者のために何兆ドルも出費する一方、中国は米国経済の宝石ともいうべき部門乗っ取りのために何兆ドルも資金を投じてきた。今日もやり続けている。
中国はわが国のテクノロジー、農耕地、金属その他の資源の買収、そして港湾、ターミナル、さらにバイデン犯罪ファミリーの影響力の下でエネルギー基幹部門の買収に乗り出している。私がかねてから言ってきたように、経済安全保障は国家安全保障にほかならない。
中国はわが国企業による中国インフラの買収を決して許していない。アメリカも同様に中国によるわが国インフラ買収を決して許すべきではない。私は一期目の大統領の時には、決してそれを許さなかったし、また大統領に返り咲けば、二度と許さない。
わが国防衛のために、我々は中国による米国インフラ保有に対する果敢な新たな制限を課す必要がある。その中には、エネルギー、テレコミュニケーション、農耕地、天然資源、医療関連物品、その他戦略的自然資源が含まれる。そのためにはまず、これら緊要な諸工業に対する中国による買収にストップをかけ、わが国安全保障を脅かしている中国保有のわが国の経済資産の売却を中国側に迫ることから始めなければならない。
もし、これを実行しないならば、合衆国は中国所有となり、彼らを喜ばせることになる。私は再び大統領になったら、アメリカの将来はこれからもアメリカ国民の手中に残ることを保証する」
〈対外通商政策〉
「私の通商政策の基本ビジョンは、国内生産者を罰し海外企業に報酬を与えるバイデン政権の施策から国内生産者と輸出業者に恩恵をもたらす仕組みに移行させるため、関税および貿易政策を根本的に見直すことにある。この目的達成のため、ほとんどの外国製品に対する一律、ベースライン関税改正を段階的に実施していく。関税率はその国の通貨切り下げの度合いに応じて引き上げていく。
諸外国は、対外貿易で得をするために自国通貨を切り下げ、自国企業に助成金を出し、あるいは不正貿易に乗り出している。外国製品に対する関税を引き上げれば、それだけ米国生産者に対する課税が大きく下がり、結果的に多くの雇用を生むことになる。わが国の税収増によって、国内企業への新たな投資が加速し、わが国労働者、ファミリー、地域社会を潤すことになる。