2025年2月12日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年12月11日

 これは、16年に九段線には国際法上の根拠がないとの判決を中国との仲裁裁判で勝ち取り今も南沙諸島で中国から虐められているフィリピンの立場に冷や水をかけ、仲裁裁判の結果も貶めるものだ。直後にインドネシア外務省は、共同開発は九段線を認めるものではないとの立場を表明し問題を緩和しようとしているが、声明の内容自体が九段線容認と読まれることは不可避だ。

日本がやるべきこと

 その他の部分では「中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府で、台湾が中国の不可分の一部であるとの総会決議2758号に沿った従来からのインドネシア政府の一貫した一つの中国の立場を再度表明し、中国政府による平和的再統一の努力を支持」し、「新疆ウィグルは、中国の内政問題」と明言している。双方とも望ましくはないが新しくはない。

 台湾については、この立場の下でも中国の武力侵攻の結果インドネシア国内を通る国際的代替シーレーンの自由で安全な航行維持が必要になれば、インドネシアの協力は可能なはずなので引き続きその働きかけは進めるべきだろう。

 一方、この記事が可能性を指摘していたフリゲート艦等の中国からの購入を確認する情報は今のところ無いが、引き続き注視する必要はあろう。

 以上を踏まえ日本として早急にやるべきは、インドネシアを一層組織的な形で当方側に取り込むことだろう。インドがBRICSとクアッドの双方に入っているのは、ベストではないが良いことだ。既存のインド・インドネシア・豪州の3カ国会合に日本が参加しアジア版クアッドを作ることを本気で進めるべきだ。

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