2025年2月14日(金)

医療神話の終焉―メンタルクリニックの現場から

2024年12月16日

 また、その児童等に対する教育支援には、通常の教室以外の場所の提供すら求めている。第23条4に以下のようにある。「学校は、(中略)いじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等(中略)必要な措置を講ずるものとする。」

 また、学校は決して隠蔽してはならない。児童等とその保護者に対して、適切に情報を提供しなければならない。その法的根拠は、第23条5の「学校は、(中略)いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする」との文言にある。

 最後に、学校は、必要があれば、刑事司法機関と連携することすら、躊躇すべきではない。同法第23条6は、以下の通り記している。「学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄警察署と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない」

 同法が第23条から同条6にいたるまで、かなり個別の事情に踏み込んでいるのは、ひとえに担任教諭の丸抱え、校長による責任転嫁、説明責任の放棄等が学校において常態化していたからであろう。

診断書一枚が映し出す学校の闇

 筆者が診断書を書けば、学校はすぐ動く。被害児童・保護者は、涙を流さんばかりの感謝ぶりである。しかし、紙切れ一枚で学校が動くという事実は、逆に言えば、学校は最初からいじめの事実を認知していて、かつ、それを積極的に隠蔽しにかかっていたということであろう。

 お礼の言葉を述べる保護者の姿をぼんやりと見つめつつ、筆者は学校という組織の闇に慄然(りつぜん)とせざるを得ないのである。

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