台湾の国家安全保障当局者によると、この1週間の展開には100隻近い艦船が関与しており、その3分の2が人民解放軍海軍、3分の1が海警だった。東・南シナ海、そして台湾の東海岸から遠く離れた西太平洋の海域に散在するそれらは、70日間かけて構築された。当局者の一人は「中国が第一列島線(日本列島~フィリピン)を封鎖し得ることを示している」、「このようなグレーゾーン戦術は、我々と近隣諸国にとって脅威を増大させている」と言う。
米政府高官は、台湾は過剰に警戒している可能性があると述べた。この高官は、米国は台湾に発言の抑制を求めていないと付け加えた。台湾には国内の政治的配慮があるかもしれないからだ。
日本の高官によれば、今や中国は、発表なしにこの規模の演習を行うことができるという新常態を作った。
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最大規模の海軍力での威嚇
昨年12月に頼清徳総統は南太平洋の3カ国を歴訪した。これは同総統にとって、就任後、最初の外国訪問となった。
頼総統は旅行の途次、ハワイ、グアムに立ち寄り、その場から米国関係者と電話会談を行った。そのことに対する「懲罰」として中国側は台湾海峡や台湾周辺海域に海・空軍機を展開させ、台湾を威嚇した。
上記の解説記事はこのことを論じたものであり、台湾当局にとっては、ある程度予期されていたものであったが、その中国海軍力の脅威の程度は予想を上回る高度のものであったようだ。この時の中国の軍事演習は、ここ30年間で最大規模の海軍力の展開であった。それに加え、空軍としては、上海と香港の沿岸部を結ぶ7つの地域の飛行制限を実施した。