このような軍事演習がはたして、頼清徳の米国訪問を対象とした恫喝だけだったのか、中国の台湾恫喝の一環としての行動だったのか、中国自身がその内容について詳細を発表していないので、はっきりしない。しかし、明らかなことは、台湾海峡をはさむ海空域や台湾周辺海域における中国の軍事活動の威圧が全体として上昇してきたことである。
台湾で高まる頼清徳への支持
台湾の関係者たちによれば、今回出動した100の戦艦のうち、3分の2は人民解放軍の海軍に所属し、3分の1は海警局に所属するものであったという。日本の自衛隊関係者は、「中国はこれまで演習のたびに、新たな一線を越えてきたが、今回彼らは、発表なしに、この規模の演習を行うまでになった」と述べたという。
なお、日本の海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が台湾海峡を初めて通過したのは昨年9月のことであったと報道されている。「さざなみ」はその後、南シナ海で行われた「多国間訓練」にオーストラリア、ニュージーランドの艦船とともに参加した。日本の艦隊にとって至近距離にある台湾海峡という国際海峡を初めて通過したというのは、遅きに失した残念なことであり、異常なことと言わざるを得ないだろう。
ちなみに、台湾世論調査機関(鏡新聞)が最近実施した支持率を見ると、頼清徳の支持率が過半数を超え、51%となった。総じて民進党政権の支持率は高めで推移していることがわかる。世論調査は動きやすいものであり、断定はできないが、頼総統の今回の外遊結果はこのような支持率を生み出したことと無縁ではないにちがいない。