フィナンシャル・タイムズ紙の12月15日付け解説記事‘Big Chinese naval exercise leaves Taiwan and US struggling for response’が、中国による台湾周辺での海軍力による威圧の強化・拡大につき、グレーゾーン戦術の常態化は台湾侵略を見分け難くしていること、中国が第一列島線を封鎖し得ることを示していること、など、米国、台湾、その他の当局者の受け止めを紹介している。要旨は次の通り。

台湾は、頼清徳総統による2度の短期の訪米(ハワイとグアム)を含む外遊への「懲罰」として中国の軍事演習を覚悟していたが、実際に目の当たりにしたのは過去30年近くで最大となる中国の海軍力配備だった。同時に中国は、上海から香港までの海岸線を囲む7つの空域で、2日間にわたり航空交通の一部規制を発表した。人民解放軍からは一言もなかった。
台湾と米国は全く異なる結論を導き出した。
台湾国防部は12月9日、緊急対応センターを設置し、即応態勢の訓練を行った。「彼らが訓練を発表しようがしまいが、我々に対する脅威のレベルは厳しい」と国防部は述べた。
米国は、中国の東・南シナ海における軍事的活動は「高まって」いるが、他の大規模な演習において見られるレベルと「一致している」、と述べた。米当局者は、中国の活動を頼総統のハワイとグアムへの短期訪問への反応とは見ていない、と強調した。
ある米高官は、(台湾総統の)米国立ち寄りに対応した威圧作戦と、今回起こったと思われる「日常的な大規模地域演習」のようなものを区別することが重要だと述べた。
専門家たちによれば、中国は予告なしの演習と従来の演習を組み合わせることで、敵対国に混乱と不確実性をもたらす可能性があり、このような規模の演習をより定期的に行うことで、台湾への攻撃の準備を見破ることも難しくなるだろう。