2025年2月7日(金)

韓国の「読み方」

2025年1月27日

 昨年12月3日夜に突如として発表された韓国の尹錫悦(ユン・ソニョル)大統領による「非常戒厳」は、3時間も経過しないうちに韓国国会でその解除議決が可決されたことにより、発令からたった6時間あまりで大統領自らが取り下げるという結果に終わった。そもそも今回の非常戒厳はあまりに唐突で、その計画自体の杜撰さがあちらこちらで浮き彫りとなったことはすでに報道されている通りである。

 非常戒厳前の尹大統領はその内政手腕が酷評され続けてきた一方で、外交・安全保障分野に関しては側近のアドバイスを的確に実行して肯定的な評価を与えられてきた。我が国にとっては、日韓関係改善、日米韓安保協力のさらなる発展等、ここまで着実に積み上げて実績が根底から崩れてしまったことは残念だとしか言いようがない。

韓国の「非常戒厳」による混乱は、ウクライナ情勢にも影響を及ぼし得る(NurPhoto /gettyimages)

 経済面でも、非常戒厳発令以後、韓国内政混乱の影響を受けて株価は下落し新たに創出された雇用数が減少した。昨年の10月から12月までの四半期経済成長率が減少するといった数字に現れるような影響が出始めている。

 尹政権発足以後、日本以上に物価が急上昇して経済的負担が増している大半の韓国国民にとっては、政治空白による「決められない政治」により国際社会での韓国の地位を低下させ、経済回復の足枷にならないかと心配している。

 その後、尹大統領は内乱罪の容疑によって身柄を拘束されると、「即刻逮捕」を主張してきた最大野党「共に民主党」の李在明代表の表情は意外にも暗かった。メディア取材に対して尹大統領批判の言葉はなく「迅速に憲政秩序を回復し、国民生活と経済に集中する時だ」と答えた訳は、内政の混乱がこれ以上長期化すれば野党であっても国民からの支持が得られなくなることをよく理解しているからだろう。


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