経団連と連合の幹部が賃上げの方針を説明する「労使フォーラム」が1月31日に都内で開かれ、22日に事実上スタートしていた春闘が本格化した。経団連の十倉雅和会長は「賃上げを真の意味で定着させるには、まず賃金は上がっていくもの、次に適正な価格転嫁と販売価格アップを受け入れるという、2つの考えを社会的規範として定着・浸透させる必要がある。中小企業の賃上げなくしては実現できない」と語った。
物価が上昇する中、従業員給与の上昇は一部の大企業に留まり鈍いまま。その実態は“貧しい国”とも称される。待遇や新たな環境を求めて海外へ流出する若者も出てきている。
日本経済の実態はいかなるもので、「賃金と物価の好循環」はどのようにして起こしていくべきなのか。おすすめ記事6本を紹介します。
【春闘はオワコン?】「賃金と物価の好循環」は幻か、イメージと乖離した企業の賃上げ実態(2024年5月15日)
日本の6人に1人が貧困状態…厚生労働省が定める「相対的貧困」の基準とは(2024年5月27日)
【春闘の行方】「賃金は上がらないから我慢して働くべき」という時代は終わった「賃金と物価の好循環」で間もなくやってくる「金利のある世界」に備えよ(2024年2月29日)
幻想の「出稼ぎワーホリ」ままならぬ仕事に不払いの給与…それでも若者たちが目指す理由(2025年1月14日)
【衆院選で並ぶ「最低賃金1500円」公約】私たちが幸福になれない3つの問題(2024年10月24日)
<賃上げ>で日本経済の好循環なるか?忘れてはならない人手不足の歪、インフレ調整を強いられる日本社会(2024年2月14日)
【春闘はオワコン?】「賃金と物価の好循環」は幻か、イメージと乖離した企業の賃上げ実態(2024年5月15日)
2022年春以降、世界的なインフレを背景に、日本でも物価が上昇し、賃金も上がり始めました。厚生労働省によると、23年の春闘での賃上げ率は3.6%で、1994年以来30年ぶりに3%台となりました。さらに、24年の賃上げはそれを上回る見込みで、連合(第4回回答集計結果)によると、賃上げ率は全体で5.2%、中小企業でも4.75%に達しています。
このような動きを受け、日本銀行は3月に、「賃金と物価の好循環」により、2%の物価目標が安定的・持続的に達成できる見通しが立ったとして、17年ぶりに利上げし、金融政策の正常化に踏み出しました。
「賃金も物価も上がらない」ことが常態化していたこれまでの状況から、「賃金も物価も上がる」という前向きな意識を定着させ、経済の活性化につなげることが求められています。
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【春闘はオワコン?】「賃金と物価の好循環」は幻か、イメージと乖離した企業の賃上げ実態
日本の6人に1人が貧困状態…厚生労働省が定める「相対的貧困」の基準とは(2024年5月27日)
「貧困」(poverty)とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか? 貧困の定義はさまざまですが、大きく2つに分けて考えることができます。衣食住など必要最低限の生活水準が維持できない「絶対的貧困」(absolute poverty)と、その国(地域)の基準と比較してまともな生活水準に満たない「相対的貧困」(relative poverty)です。
国際社会には、「貧困の削減」と「持続的成長の実現」をその目的としている国際開発金融機関(MDBs:Multilateral Development Banks)が設けられています。一般的にMDBsと言えば、各所轄地域(アフリカ・アジア・欧州・米州)を支援する4つの地域開発金融機関*1と、全世界を支援の対象とする世界銀行(WB:World Bank)を指します。
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日本の6人に1人が貧困状態…厚生労働省が定める「相対的貧困」の基準とは
【春闘の行方】「賃金は上がらないから我慢して働くべき」という時代は終わった「賃金と物価の好循環」で間もなくやってくる「金利のある世界」に備えよ(2024年2月29日)
世の中には「社会通念(ノルム)」というものがある。「こうあるべき」「こうあらねばならない」という人々の暗黙の了解であり、それらは時に(強力な)社会の規範にもなりうる。
日本社会でこれが典型的に表れていたものの一つが賃金と物価(の抑制)である。「賃金が上がらないのは当然だから我慢して働くべき」「企業はいいものを安く売るのが当たり前だから1円も値上げしてはならず、物価は据え置かれるべき」──。こうした人々が当たり前だと思っていた意識が昨今、急速に変化し、20年にもわたるデフレの時代から、インフレの時代への転換が本格的に始まろうとしている。
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幻想の「出稼ぎワーホリ」ままならぬ仕事に不払いの給与…それでも若者たちが目指す理由(2025年1月14日)
海外での休暇を楽しみつつ、就労も可能なワーキングホリデー制度(ワーホリ)が日本と豪州の間で始まったのは1980年のことだ。
以来、各国での導入が進み、現在は約30カ国・地域にまで広がった。中でも豪州のワーホリ事情が2023年から、メディアやSNSで急激に話題になった。それはあるテレビ番組で、こんな若者たちの声が紹介されたのがきっかけだ。
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【衆院選で並ぶ「最低賃金1500円」公約】私たちが幸福になれない3つの問題(2024年10月24日)
衆院選の各党公約で、最低賃金1500円が目立っている。自民党は「2020年代に全国平均1500円」、公明党も「5年以内に全国平均1500円」、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党も「1500円以上」としている(「「賃上げ・物価高対策」の各党公約は?多くの党が最低賃金「1500円」引き上げへ」FNNプライムオンライン2024/10/18)。
賃上げが物価高に追いつかないことから、賃上げ加速の一つの手段として最低賃金(最賃)を上げようとしているのだろう。2020年代と5年以内は同じなので、自民党も公明党も5年以内に1500円にするということだ。
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【衆院選で並ぶ「最低賃金1500円」公約】私たちが幸福になれない3つの問題
<賃上げ>で日本経済の好循環なるか?忘れてはならない人手不足の歪、インフレ調整を強いられる日本社会(2024年2月14日)
執拗な円安相場が続く中、ドル/円相場のフェアバリューはどこにあるのか、どの程度であれば日本経済にとって心地良い水準と言えるのかといった、ある種の「正解」を求める照会は非常に増えている。しかし、為替市場はフェアバリューが無い世界であり、こうした照会に対して筆者が用意できる回答はせいぜい内外物価格差から導出される購買力平価(PPP)をどう考えるかという議論だけだ。
昨年来、筆者はドル/円相場の実勢と購買力平価(PPP)の乖離が非常に大きくなっているという事実に関し、「正しいのは実勢相場であり、PPPが今後円安方向に調整されてくるはず」といった主張を展開してきた。現状、実勢相場に最も近い場所にある消費者物価指数(CPI)から計算されるドル/円相場のPPPでも109円弱だ。これと比べれば3割以上も「過剰な円安」が放置されているのは確かである。