2025年2月7日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年2月3日

 もうひとつの理由は、個人客が7割以上となった今、中国人観光客の傾向を端的に捉えることは難しく、それができないため、イメージしやすい「爆買い」に逃げてしまうことだ。

 「爆買いブーム」のときには、10~30人くらいの中国人団体客は同じバスに乗り、同じ観光地で下車して、旗を持ったガイドとともに街を歩くので、「見た目」でわかりやすかった。だが、個人客がバラバラに旅行している現在は、彼らがどこにいるのかわからない。口を開けばわかるかもしれないが、「見た目」はほぼ日本人と同様であり、マナーもよくなっているからだ。

古いイメージが観光客をがっかりさせることも

 このような理由から、中国人=爆買いという着眼点しかなくなっているのだと感じる。各観光地や宿泊施設の中には、肌感覚で「かつての中国人観光客とはもうかなり異なる」ことを理解しているところも多いはずだ。いまだに「中国人観光客が来るから、真っ赤な装飾でお出迎えしよう」と考えるところもあるかもしれないが、わざわざ日本観光を楽しみにやってきた彼らにしてみれば、「ここは日本じゃないの? 日本にも春節があり、日本人は真っ赤な飾りつけが好きなの?」と感じて、興ざめしてしまう。

 実際、筆者はそのような「残念な話」を中国人から聞かされたことがある。メディアは周回遅れで中国人観光客の現状を紹介しているが、それに惑わされず、現場感覚を大切にして、現状に合ったマーケティングをしていくべきだろう。

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