2025年3月26日(水)

WEDGE REPORT

2025年3月11日

日系メーカーに勝機はあるか?

 現在、インドの電動二輪車市場はOla Electricを筆頭に、TVS、Ather Energy、Bajajなどのインド企業が上位を独占している。ホンダやスズキといった日系メーカーの本格的な展開はこれからであり、「出遅れている」状況とも言える。日系メーカーに勝機はあるのだろうか?

 この問いに対するヒントとして、電気自動車(EV)市場の事例を見てみよう。

 インドの自動車メーカーTata Motorsは、電動SUVの「Nexon EV」を17年にいち早く市場に投入。この車種は、長らくインドのEV市場で販売台数トップを維持してきた。

 しかし、中国のSAICモーター傘下の英国ブランドMG Motorの「Windsor EV」が24年9月に登場すると、翌月から25年1月まで4カ月連続で、EV販売台数1位を奪取した。

 バッテリーレンタルプラン(BaaSモデル)を活用した初期費用を抑えられる価格設定、広々としたキャビン、タッチスクリーンを搭載した先進的なコックピットなどが人気の要因となっている。消費者からのクチコミでは、走りの良さを評価する声も多い。

 後発の「Windsor EV」の参入により、「Nexon EV」は一気にシェアを奪われた形となった。

MG Motorの「Windsor EV」(公式サイトより)

 インドの企業は、スペックが十分とは言えない製品でも安価にいち早く市場に投入することで先行者利益を得る傾向がある。

 しかし市場を席巻するプレーヤーや車種が存在しているからといって、後から巻き返せないわけではない。より高性能でコストパフォーマンスに優れた製品が登場すると、市場の流れが変わる。

 現在、電動二輪車はインドの二輪車セグメントの全体のわずか6%のシェアしか持たない、まだまだ成長初期の段階だ。現在の商品、また今後の投入商品次第で勢力図が変わる可能性も大きいのではないだろうか。

 そう考えると、優れた技術と製造品質を持つ日系メーカーにも大きなチャンスがあると言える。現時点の参入は決して「出遅れている」わけではない。今後、市場の成熟度やニーズを踏まえ、競争力のある製品を投入できるかが、日系メーカーにとっての鍵となるだろう。

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