米国の核の傘の信頼が低下する中、同盟国は自前の抑止力構築を考えるかもしれない。これは韓国では広く議論されている。広島長崎原爆投下の悲劇に取りつかれている日本はより慎重だが、日本がその方向に動けば核不拡散努力には打撃となる。
非常に初歩的な同盟構築でさえ日本の過去の統治に対する韓国の怒りと日本の平和憲法の下では簡単ではない。日韓どちらも安全保障戦略全体を再検討する準備が無いが、それこそが彼らが始めなければならないことなのだ。
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国防費増額という緊急の課題
この記事が言っていること自体は正しい。トランプ第二次政権が米国第一主義に基づく選択的対外関与の姿勢を強め、同盟国を特別扱いしない姿勢をますます強めている中で、現在の国際社会の秩序を守る意思と能力がある国々、具体的には欧州諸国と日本・韓国を含むアジアの民主主義国はほとんどが米国の同盟国であり、現在の米国の行動に大きな影響を受けるという共通の問題に直面している。
まず、甚大な国際情勢激変を踏まえ、その対応について国内的コンセンサスを作るために、国家安全保障戦略の改訂を考えてはどうか。問題はそれだけ包括的で深刻なので、小手先の個別対応ではなく、それらを正当化する包括的戦略的枠組みが必要だろう。中でも、国防費の一層の増額は緊急な日欧の共通課題だ。
欧州とは無関係に、日本の防衛費もあまりに少なすぎた。漸く 2027 年にGDP比2%を目指す動きが緒に就いたばかりだが、そのゴールポストは既に3%に動いている。少なくとも「韓国並み」にするということで、まずは2%を超えても増額を続けることを目指してはどうか。
ちなみに、防衛費の対GDP比について最近台湾関係者から興味深い話を聞いた。コルビー米国防次官候補は指名承認公聴会で、台湾はGDP比10%の国防支出をすべきだと表明した。しかし、実際は台湾の防衛費やそのほか全てを含む予算規模は GDPの10~15%に過ぎない。すなわち、GDPの10%を国防費に充てるということは国家予算の75%以上を国防費にすることで、そもそも非現実的な話なのだそうだ。
