こうした攻撃的なスタイルを支えるのが、板倉滉(ボルシア・メンヒェングラートバッハ/ドイツ)など、1対1でも守り切れる3バックの存在、そしてウイングバックの選手たちの守備面での貢献だ。右ウイングバックの堂安は「日本代表では攻撃的と言われる選手たちが、当たり前のように守備で頑張れる」と”森保ジャパン”の強みを語る。そこは森保監督も頼りにしているところで、攻撃的な布陣を使っても守備の不安にならないことが最終予選での安定した戦いにもつながったのだ。
3-4-2-1と言っても4バックの時と同じく可変性をうまく生かしており、守備面では高い位置でプレスをかけるときは左の三笘が前に、右の堂安が後に下がる形の4-4-2になったり、2シャドーを前に押し出して3-4-3で前からボールを奪いにいく形に変わったりすることもある。その一方で、なかなかハイプレスがハマらない場合や、守備を固めて耐える時には5-4-1や5-3-2にもできる。こうした柔軟な戦い方が試合を重ねるごとにアップデートされて、現在の”森保ジャパン”が出来上がっているのだ。
世界一を目指すうえでの課題
しかし、ここから本当に世界一を目指していくには大きな課題があることも確かだ。バーレーン戦で予選突破を決めた後のサウジアラビア戦では6人のスタメンを入れ替えた中で、相手の極端に守備的な戦い方に苦しみ、0−0の引き分けに終わった。森保監督は「押し込んだ試合で圧力をかけて得点を奪えるように、さらに成長していかなければならない」と語るが、ここまでカタール組を中心とした信頼するメンバーを固定的に起用してきた側面もある。
最終予選の残り2試合を含めて、本大会まで10数試合で戦術的なアップデートとフレッシュなメンバーのテストをどう融合させながら、チームを成長させていくのか。世界一を目標に掲げている以上、取材する側も前向きに厳しく見守っていきたい。