2024年12月22日(日)

勝負の分かれ目

2023年8月16日

 女子W杯の準々決勝でスウェーデンに惜しくも2-1で敗れた〝なでしこジャパン〟。JFAのYouTube公式動画である「TeamCAM」でキャプテンの熊谷紗希(ASローマ)は「みんなともっとプレーしたかったし、終わったらやっぱり、あっけないなじゃないけど……。もう荷物を積めて明日帰るしかなくて。悔しさしかないです」と語っていた。

〝なでしこジャパン〟の快進撃はベスト8で止まってしまった(Phil Walter/Staff/Gettyimages)

 W杯という大舞台でベスト8という成績は立派だが、ベスト4に残るか残れないかは大きな差である。準決勝で勝利すれば、もちろんファイナルを戦うことになるが、仮に敗れても3位決定戦がある。ベスト8というのは大会の最後まで残る権利をギリギリで失うことでもある。〝なでしこジャパン〟もスウェーデンに敗れた翌朝には二手に別れて帰国の途につき、到着後に池田太監督や何人かの選手が報道陣の取材に応じる形で、チームは解散となった。

未来を変えていくための挑戦

 終わってしまうと本当にあっけない、しかし、振り返れば素晴らしい時間だったのではないか。熊谷キャプテンも「試合を重ねるごとに、どの会場でも日本のファンが増えて。日本を応援してくれる声もたくさんあって。だからこそ、もっと先に行きたかった」と振り返るように、ザンビア戦、コスタリカ戦、スペイン戦、ノルウェー戦、そしてスウェーデン戦と〝なでしこジャパン〟のファンが増えていくのが、目に見えて伝わった。

 開幕前はさほど注目度も高くはなく、放映権の高騰などもあり、ギリギリまで日本国内での中継も決まらない状況だった。筆者は壮行試合となった仙台でのパナマ戦も取材したが、NHKで開幕戦と日本戦の中継が決まったことがリリースされたのは試合の当日で、選手たちも嬉しいというよりはホッとした反応をしていた。ある意味、今回のNHKは〝救いの手〟である。〝なでしこジャパン〟の戦いは未来を変えていくための挑戦でもあった。

 ちなみに筆者の大会前の予想はベスト8だった。その予想が当たったことをここで自慢したい訳ではない。グループリーグの組み合わせ、ラウンド16で開催国ニュージーランドがシードで入ったA組から勝ち上がった国と当たるため、11位の日本よりFIFAランキングが上位のチームと対戦しないことが事前に分かっていたのだ。


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