日清戦争前に日本の大本営は制海権の策を練った。その一方で清朝、李鴻章はこの重大な戦略問題に対してぼんやりしたままだった。戦時に海軍がどのような役割を果たすか、明晰な考えを持ち合わせていなかった。朝鮮と開戦してから日本海軍は充分に準備を整え、中国艦隊に対応すべく精力を集中した一方で、中国海軍は敵との遭遇の回避を図り、決戦に備える思想、軍事的準備を整えていなかった。制海権の放棄と喪失が日中戦争で敗北した重要な戦略的原因だったわけだ。
莫俊鵬(陸軍少将、第二砲兵22基地司令員)代表
120年前にアジア最強の艦船を保有した清朝の軍隊は、それにもかかわらずあの戦争に敗北したのである。一つの重要な敗因としては、朝廷が上から下まで民族的危機感を心に刻んでいた人はそれほど多くなく、主流を占めることはなかったことが挙げられる。
北洋水師(清朝の海軍:筆者)は、風紀紊乱(ふうきびんらん)に陥り軍規は乱れ、悪弊が蔓延していた。歴史は一面の鏡であり、我が国の安全保障が直面する挑戦とチャレンジは未曽有のものだ。現在の平和ボケを徹底して取り除き、「定遠号」の鉄の錨を永遠に心に刻み、民族と国家の大業を重視し、国防と軍隊建設を念じて、戦わねばならず、準備を整える必要がある。
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蔓延する汚職 近代化への焦燥
【解説】
日中関係が未曽有の行き詰まりに陥る中、中国メディアを賑わす日清戦争120周年の話は日本人からすると不気味に映る。中国は一体戦争を欲しているのか、日本に攻撃を仕掛け、日清戦争時の屈辱を晴らそうとしているのか、という疑問さえ湧く。
しかし、上記のように紹介した文章を詳細に見てみると、重点は日本との戦い云々よりも、歴史的教訓として軍の近代化と改革を進めるべきと考え、汚職の蔓延や効率の悪さで遅々として進まない近代化への焦燥が窺える。王毅外相は「両会」記者会見の席で2014年は「1914年でもなければまして1894年などではない」と歴史の再発を否定する発言をしている。