「自然が一番なんだよな」
第3話に至って、さとこは辞めた会社時代の同僚から呼び出されて、復帰しないかと持ち掛けられる。さとこの退社の原因のひとつが、パワハラにあったことを知って会社にかけあうというのである。
さとこは、家計的にパートだけでは苦しいことはみえてきていた。友人の誘いに迷いもあった。
そんな時、勤めている小さなデザイン会社の社長が突然、「社内旅行で温泉に行こう」と言い出す。社員といっても、社長の唐圭一郎(福士誠治)と、社員のふたり、そしてパートのさとこである。
社長の唐が週に一度は来ているというひなびた温泉宿だった。彼によると、温泉の分析結果がすこぶるいい、というのである。
湯治と夕食を終えた4人が、宿のテラスから景色を眺めながら一息ついている。
「自然が一番なんだよな。麦巻(さとこ)さんを見ていると、自分の体調をみながら自然に働いているところがとてもいいんだよ」と、唐はいうのだった。さとこは顔を上げるようにして、こみあげるものを抑えようとしている。
さとこが出会った「薬膳」
さとこが帰京して、買い物に出ると店頭から米が消えていて、パックのごはんも値段が高い。自宅に帰って、ドアを開こうとしていると、司と老婦人と出くわす。
この婦人は戸建てに引っ越して、自宅のアパートの一室を賃貸に出そうとしていたが、エレベーターがない5階なので借り手がなかなか現れなかった。さとこと司は、婦人の部屋に階段を昇って行って、さとこは気付く。
ベランダから、野鳥のつがいがみえ、遠くをみやると景色がとてもいい。さとこはスマートフォンで写真を撮って、「この景色を賃貸の募集広告に載せてみては」と、助言していたのだった。
借主が決まったので、そのお礼に婦人は実家から送られてきた新米の袋をさとこに手渡した。「おかゆにして食べるのもいいわよ」と。司も「おかゆはからだを温めるので、とてもいいです」と。
おかゆを食べる、さとこは充実した表情となる。会社への復帰を誘った友人には、いまの生活が充実していることを理由として、断りの手紙を書く。
番組のホームページで、さとこが出会ったあるいは作った「薬膳」のレシピが掲載されているのも楽しい。
