先述のびっくりドンキーでは小学生以下の子どもを対象に「もぐチャレ」を実施している。もぐもぐと残さず食べて食品ロスを減らしながら、好き嫌いもなくなることを目指している。
1回目に完食した際に、表彰状をプレゼントしてスタンプを押し、2回目の完食でまた成功スタンプを押印。3回目の来店時に2回成功の表彰状を提示すれば、プレゼント商品を提供する。
「持ち帰り」は事業者が取り組みやすい“仕組み”が必要
飲食店や来店者が様々な対策を講じても、食べ残しは生じる。その際、容器を購入するなどして、食べ残しを持ち帰ることで食品ロスを減らすことができる。
持ち帰りは対策の一つとして期待できるが、持ち帰った食品で食中毒が起きるではないかといった懸念もある。事業者に「法的責任がある」ということになってしまえば、持ち帰りサービスを提供しない飲食店も出てくるだろう。
厚生労働省と消費者庁は「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン ~SDGs目標達成に向けて~」を24年12月に公開した。飲食店から持ち帰る時点からは、消費者は注意事項を守って自己責任のもと、持ち帰った食品を食べきる「契約」とする。
事業者は注意喚起をしなければない。消費者は「持ち帰る際および持ち帰った後の食品管理の責任は、基本的に消費者にあること」を理解しなくてはならない。さらに、食べ残し持ち帰りサービスを提供する飲食店の取組を消費者も理解し、評価し、サポートしていくことが求められる。
食べ物を持ち帰る際に、異なる飲食店の食べ残しを混ぜて持ち帰られないようにするなどの注意も必要だ。持ち帰った食物による食中毒が起こった場合のトレーサビリティを考えたもので、ガイドラインに示されている。こうした食品を提供した事業者の免責については、アメリカの「善きサマリア人法」、英国の「社会的行動、責任、勇敢な行動法」、韓国の「食品の寄付活性化に関する法律」においても共通している。
持ち帰り時の食品管理の責任の所在を明確にするため、デニーズや名鉄グランドホテルをはじめ外食やホテル、中食、自治体、大学の21企業・団体で構成される「mottECO普及コンソーシアム」では、事業者向け、客向けの説明資料を作成している。ことに、責任問題がわかりやすく説明されている客への説明資料は、飲食店の現場ではとても便利だそうだ。

