開催時期は、メジャーのシーズンを優先している。秋は、レギュラーシーズン上位チームによるプレーオフがあり、メジャーの頂点をかけたワールドシリーズで完結する。自他ともに世界最高峰のリーグと認めるメジャーのブランディングを考えても、ワールドシリーズの後に国・地域対抗による「世界一」決定戦を行うことは想定できない。
それゆえに、WBCはメジャー開幕前の開催が現実的だが、代表に選ばれると、例年のシーズンよりも早めの調整を強いられる。当然ながらけがのリスクや調整を考えて出場に消極的な選手が出てくるわけである。
ジャッジ選手も前回大会はシーズンを優先してWBC出場は見送った。特に投手の場合は球数制限が設けられていても、慎重にならざるを得ない。大会参加を早々と表明したジャッジ選手、リンドーア選手はいずれも野手だ。
米国でも高まる大会への関心
WBCそのものの盛り上がりも、日本国内とは対照的に、当初は米国内での注目はそこまで大きくなかったことも背景にあるだろう。一方で、大会を重ね、米国内での関心も高まってきた。
大会規模も、第2回大会までは16チームによる参加だったが、13年の第3回大会からは予選が実施されて、参加数も拡大した。第6回大会は予選を含めて24チームが参加した(※日本などは予選免除)。
また、米経済誌「フォーブス」の報道によれば、前回の23年大会全体の観客動員数は130万人を超え、最多だった前回の17年大会から20%増加した。また、テレビやストリーミング配信で放映され、米国が勝ち上がったこともあり、米国内の決勝戦のストリーミング配信は平均視聴者数520万人を叩き出し、過去の記録を大幅に更新した。
メジャーリーグは米国内での人気が頭打ちともいわれるが、WBCは世界的な市場規模拡大の起爆剤となるだけでなく、米国内でのベースボール人気回復も期待できるコンテンツへと成長を遂げてきた。ジャッジ選手やリンドーア選手のような現役メジャーのスター選手が早々と出場を表明することで、来春の大会もスポンサーなどを獲得するために早期に動き出すことも可能となった。
ルールはメジャーリーグ主導
日本代表「侍ジャパン」は大会2連覇が懸かる。今季のプロ野球が終わると、11月6~12日に国内組の合宿を宮崎で行い、直後の11月15、16日に韓国代表との強化試合を実施することが発表された。
日本を前回大会で世界一へと導いた大谷選手らメジャー組の動向はまだはっきりしていないが、スポーツニッポンの報道では、日本代表の井端弘和監督は「当然、米国以外も世界各国からスーパースターをそろえてくると想定している。日本も負けないような選手選考をしていきたい」と語ったという。
韓国との強化試合では、今大会から導入される「ピッチクロック」などに実戦の場で慣れる意味合いもあるという。「ピッチクロック」は試合時間の短縮を目的に、投球間の時間を制限するルールで、メジャーは23年シーズンから導入した。日本のプロ野球では導入されていないが、WBCを主導するメジャーは、26年大会を全てメジャーと同じルールで実施する。
