2025年4月14日付フィナンシャル・タイムズ紙は、トランプ政権は中国との関税戦争での力関係について誤算をおかしていると指摘するギデオン・ラックマン(同紙チーフ外交コメンテーター)による論説を掲載している。

トランプ大統領は4月13日、スマートフォンなどを関税措置から除外する旨発表したが、これは前週に中国からの輸入品について145%の「相互」関税を課すとの方針の変更に当たる。こうした突然の方針転換はトランプ政権の混沌を示す。
トランプとその貿易チームが中国との関税戦争において前提としているのは、中国の方が不利な立場に立っているということである。ベッセント財務長官は、「われわれの対中輸出は、中国の対米輸出の5分の1に過ぎない。中国の手札でわれわれには勝てない」と述べた。
トランプとベッセントの論理の破綻は、最近、アダム・ポーゼン(ピーターソン国際経済研究所所長)の論考で明確に示されている。ポーゼンが指摘するように、中国の対米輸出が米国の対中輸出よりもはるか大きいことは、中国にとって、影響力行使のテコになるのであって、弱みになるのではない。
米国は中国が生産するものを必要としている。従って、米国市場で中国製の物品の価格が上がり、また、そうした物品が米国に入ってこなくなれば、困るのは米国の方である。
米国で販売されているスマートフォンの半分以上がiPhoneであり、その8割が中国で生産されている。米国の消費者はiPhoneの価格が2倍以上になれば、声高に文句を述べるであろう。
世界のエアコンの8割、扇風機の4分の3は中国生産である。米国の自転車と人形の輸入の75%が中国からの輸入と考えれば、トランプ政権はクリスマス前までに貿易戦争は終わっていてほしいだろう。