2025年7月13日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年6月19日

 2025年6月5日付の中央日報社説が、李在明新大統領は国民統合の約束を忘れずに、言葉だけでなく行動で示すべきだと述べている。

韓国の李在明大統領(AP/アフロ)

 韓国第21代大統領に就任した李在明は、就任演説で、「全ての人々のための大統領になる」と誓った。李在明は、有権者が選挙で誰を支持したかにこだわらず、大統領の役割は全ての国民に仕え、包摂することであると強調した。

 大統領は分断の政治を終わらせると誓い、長年党派対立によって分断されてきた国の統一を呼びかけた。このメッセージは時宜を得たものだ。

 韓国の現在の危機の大部分は、深い国の分断に起因している。イデオロギー間の「相互破壊の政治」が統治を麻痺させ、それが経済的、安全保障上の重大な課題への対応を妨げてきた。今回の任期半ばの大統領選挙自体も、そうした政治的対立によって引き起こされたものだ。

 ほとんど全ての歴代大統領が就任後に統合を口にしてきたが、結局は派閥政治に引き込まれた。もし李在明が「実用的で、柔軟な政府」という約束を果たすのであれば、就任演説で掲げた価値観に忠実でなければならない。

 「時代遅れのイデオロギーは歴史の博物館に送ろう。これからは、進歩派や保守派の問題ではなく、国民と韓国の問題だけだ」と彼は述べた。

 もし彼の政権がこの理念を反映した政策を本当に実行すれば、李在明を支持しなかった有権者の間にある懐疑心も和らぐだろう。選挙結果は、有権者が前保守政権の戒厳令の試みに責任を問うたことを示している。しかし、立法権の濫用や過剰な弾劾決議によって政治的対立を激化させたとして、「共に民主党(以下民主党)」に対する批判も存在した。

 政権を握った今、民主党が行政府と立法府の両方を掌握していることを通じて、司法への影響を試みるのではないかとの懸念が残る。李在明大統領の就任初日、民主党主導の国会法制司法委員会は、最高裁判事の数を大幅に増やす法案を可決した。


新着記事

»もっと見る