2025年12月6日(土)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年7月8日

初めてヨーロッパで採用されたアジア製主力戦車

 3日ヘッドライン「『K2戦車』ポーランドへの2次輸出計画の協議完了」は、60億ドル台(約8670億円)に上る契約交渉が2日(ポーランド時間)終了したことを伝えた。

 ロシアによるウクライナ侵攻で悪化した安全保障環境に直面したポーランドは、22年に韓国と防衛産業フレームワーク契約を締結している。K2戦車とK9自走砲、FA-50系攻撃機、多連装ロケット砲「天橆(テンム)」の1次輸出に続き、K9(23年)と天橆(24年)は2次輸出契約まで進んだ。

2025年5月の韓国MADEX「現代ロテム」ブースで展示されていた改良型K2戦車の模型(筆者撮影)

 K2戦車も順調に2次輸出にたどり着けると思われたが、ポーランド輸出型のK2PL戦車の開発と現地生産工場の建設など事業範囲と契約規模が大きくなったため、協議が長引いていた。K2PL戦車は前面と側面に爆発反応装甲(ERA)を装着、ドローンに対処するジャマー(電波妨害装置)を搭載して防御力を高めたため、K2戦車に比べ重量が約1割増加している。

 完成品のK2戦車180両を引き渡した1次輸出と異なり、2次輸出はK2PL戦車を引き渡すとともに、ポーランド国内に生産工場を建設する。これに伴って契約額は1次輸出の2倍となったという。

 防衛産業庁は「現地生産拠点の構築は、フレームワーク契約に含まれるK2戦車1000両の未納入分に対する契約履行の可能性を高めたという点で重要な意味がある」と説明する。

 このような韓国の柔軟な対応力が、K2戦車を歴史上初めてヨーロッパで採用されたアジア製主力戦車の座に押し上げた。ポーランドは22年に米国のM1「エイブラムズ」戦車250両を輸入する契約を結んだが、引き渡しまで数年以上かかるため、K2に食指を伸ばした背景がある。また、ポーランドは“事実上の欧州標準戦車”と呼ばれるドイツ製の「レオパルド2」を250両保有しているが、こちらはK2戦車1000両保有が実現すると全て退役させられる。

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