企業が生き残るために必要な事業の入れ替え
もちろん、正統的には、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が 推奨する事業入れ替え戦略が必要だ。企業が発展するためには、現状の事業をしっかり見極め、将来のことも考えないといけない。
企業の事業を成長性と収益性で評価し、1.成長性も利益も高い。2.成長率は低いが利益は高い。3.成長率は高いが利益は低い。将来的に花形事業になるかもしれないが、分からない。4.成長率も利益率も低く、撤退を考えるべきかもしれない、という4部門に分ける。これらの事業の特性を良く理解して、企業の成長と利益を最大にするというものだ。経済産業省産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 価値創造経営小委員会「中間報告~企業の成長戦略を中心とする社会システム・政策体系の構築に向けて~」2025年5月 30 日、にもこの解説がある。
GE(ゼネラル・エレクトリック)はそうして2000年代初まで成功していたが、その後はうまくいかない。24年に電力、医療機器、航空エンジンの3つの事業会社に分割された。事業入れ替え戦略で成功した企業ではなくなった。
製薬会社は昔から、事業入れ替えを意識していた。儲かっている薬も特許が切れれば利益は激減する。だから、キャッシュがあるうちに花形である新薬を作らないといけない。
トヨタは大衆車のキャッシュで利益を得ながらレクサスとハイブリッドという花形を作った。ともかく、同じことをやっていてはいつか限界が来るので、事業入れ替えは必要だ。
しかし、アクティビストは、企業がやらなくても市場がすれば良いと言うだろう。アメリカを見ると、1960年代の大企業で、今でも高収益の大企業である企業は少ない。USスティールは日本製鉄に買収されたし、GM(ゼネラル・モーターズ)は一度破産してしまった。IBMですら、今では目立たない存在だ。確かに、GAFAM (グーグル (Alphabet)、アップル、フェイスブック (Meta)、アマゾン、マイクロソフト)は、余裕資金をもった大企業がつくったものではない。市場で資金を集めて発展したのだ。
アクティビストが成功できるのは、会社が過大な資産を持っているからだ。アクティビストに本当に経営力があるなら、現在の経営陣には諦めていただくしかないと思うが、資産目当てのアクティビストに資産を取られるのは嫌だろう。
ならば、アクティビストに反論できるよう本業の浮き沈みに対する準備、雇用リストラの費用、野心的な投資などを本気で実行すれば良いのではないか。
