2025年12月5日(金)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年7月30日

 下のグラフをご覧ください。オレンジの折れ線グラフが日本で、2005年までは長きにわたり世界最大の水産物輸入国として圧倒していました。

 当時筆者は世界の最前線で水産物の買付を行っていました。日本の水揚げが減っても、安い価格で輸入品を手当てできましたので、将来に対する疑問はわきませんでした。かえって一番のリスクは買付した後に、サバやサケなどが日本で豊漁になって相場が下がることでした。

 しかしながら、気づいてみれば世界の水産物に対する需要は年々増加し、買付は年々難しくなっていきました。下のグラフは水産物輸入量と輸入額の推移です。輸入数量は減り続けて輸入金額が上昇を続ける。つまり、単価の上昇が続いているのです。

 今後、世界人口の増加と一人当たりの水産物の需要が高まり、中長期的には確実に価格が上昇していきます。日本の水揚げ量が十分あれば、無理して高い価格で輸入しなくても、国内水揚げ分でバランスが取れるだけでなく、交渉もできます。しかしながら、輸入水産物頼みになってしまうと国際競争に巻き込まれ、選択肢がないため価格上昇にとどまらず、供給自体が難しくなってしまいます。それが現在の状態です。

 水産資源管理が北米・北欧・オセアニアなどのように持続的になるシステムがあれば、輸入に頼っていても全く問題ありませんでした。しかし今となっては後の祭りになりつつあります。

ファクトチェックをしてみる

 水産資源に関する「間違った前提に対する正しい答え」は社会に悪影響しか与えません。様々な意見があること自体は当たり前ですが、誤った内容を正しいとして理解されてよいはずがありません。

 影響がないと言っているのではないのですが、魚の獲り過ぎが問題の本質なのに「海水温上昇」「外国漁船が悪い」「クジラが食べてしまう」「黒潮大蛇行」などに責任転嫁する誤った内容に対するコメントだけで、1冊以上の本を書けるだけのデータを蓄積してあります。水産資源管理に関する誤った情報は、マスコミをはじめ様々な形で発信されています。


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